東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体よもやま話 その3


「何だかこないだから手首の痛みとシビレが・・・」という患者さん。

いろいろと診るところはあると思いますが、

肩と肘を軽くほぐしてから、手首を調整したらコキンと音がしておさまりました。

それからはだいぶ具合がいいようです。


こういうのって面白いですよネ。

音がすること自体に意味があるのかどうかはわかりませんが、

「コキンとしたら軽くなった」ってことは実際にあることです。


ところで『生体の歪みを正す』の中に「中西の手首」というのが書かれております。


大学病院の治療をうけてもはかばかしくなかった

西鉄中西太選手の左手首の故障。

西鉄ってのは現在の西武ライオンズですヨ)

それを東京の某接骨医が「ああ、これは脱臼ですな」てなことをいって癒してしまった。

そのとき、コキンと音がして、それから左手首がだいぶよくなった・・・という話です。


そのことについて橋本先生は

「・・・X線写真に異常が確認されなくても、関節運動を分析してみれば、

必ず或る一定方向角度に運動機能制限と感覚異常(疼痛)があるはずである。

それの逆モーションが整復コースなのであるから、

自力でもっていかせようと、他力でもっていってやろうと、どちらでもよいのである。

接骨医は熟練大家であろうから、そこらのコツがわかっていたので、

他力逆モーションでポキンと整復してしまったのであろう・・・」と書かれております。


「気持ちのよさをききわける」という形へ進化(深化)した現在の操体法では

他力的なことはほとんど行いませんが、運動系のいくつかの力学原則さえわかっていれば、

やり方はどうであれ整復コースは一定ということなのですネ。


その原則を学ぶのが操体ですから、治療法に関係なく応用が利くわけです。

操体は何でも入る器」という言葉の意味は深いですぜ。



中谷之美



2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催