「何だかこないだから手首の痛みとシビレが・・・」という患者さん。
いろいろと診るところはあると思いますが、
肩と肘を軽くほぐしてから、手首を調整したらコキンと音がしておさまりました。
それからはだいぶ具合がいいようです。
こういうのって面白いですよネ。
音がすること自体に意味があるのかどうかはわかりませんが、
「コキンとしたら軽くなった」ってことは実際にあることです。
ところで『生体の歪みを正す』の中に「中西の手首」というのが書かれております。
大学病院の治療をうけてもはかばかしくなかった
それを東京の某接骨医が「ああ、これは脱臼ですな」てなことをいって癒してしまった。
そのとき、コキンと音がして、それから左手首がだいぶよくなった・・・という話です。
そのことについて橋本先生は
「・・・X線写真に異常が確認されなくても、関節運動を分析してみれば、
必ず或る一定方向角度に運動機能制限と感覚異常(疼痛)があるはずである。
それの逆モーションが整復コースなのであるから、
自力でもっていかせようと、他力でもっていってやろうと、どちらでもよいのである。
接骨医は熟練大家であろうから、そこらのコツがわかっていたので、
他力逆モーションでポキンと整復してしまったのであろう・・・」と書かれております。
「気持ちのよさをききわける」という形へ進化(深化)した現在の操体法では
他力的なことはほとんど行いませんが、運動系のいくつかの力学原則さえわかっていれば、
やり方はどうであれ整復コースは一定ということなのですネ。
その原則を学ぶのが操体ですから、治療法に関係なく応用が利くわけです。
「操体は何でも入る器」という言葉の意味は深いですぜ。
中谷之美
2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催