東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

夏の終わりに〜平成24年酷夏〜

今日から一週間お世話になります、出雲之國住人福田です。宜しくお願いします。タイトルは一応、夏の終わりとなっておりますが、ブログを書いている今日時点でも島根は暑く、まさに酷暑とでも言うべき今年の夏です。

平成24年の夏は毎年恒例、高校野球地区予選から甲子園に至るまでの一ヶ月の戦いに加え、四年に一度の日本国民アイデンティティー確認の祭典“オリンピック”も開催と、スポーツ三昧の夏でした。
私の様に根っからのスポーツ組は寝不足の上、アドレナリン出まくりのまさに狂喜乱舞の夏だったと言えます。

スポーツ大好き!脳みそ筋肉派の私としては、一方で、以前からも言っておりますが、スポーツとは操体臨床家にとってみれば諸悪の根源、"ボディの歪体化を進める"以外の何ものでも無いとも思っているのです。
国民の健康管理に対して国自体も、運動とスポーツの境界も曖昧な文科省スポーツ振興法の規定により国民スポーツに力を入れているのは何とも皮肉な限りです。
そんな環境の中において、私自身、せめてもの罪滅ぼしと防波堤にとの思いもあり、このスポーツ振興法の目玉でもあった総合型地域スポーツクラブの地元での立ち上がりから関わらせて戴きました。私の地元、松江市宍道町で平成18年にNPO法人しんじ湖スポーツクラブとして、正式に発足し、気が付けば現在で6年が過ぎました。私自身はNPO発足前から何だかんだと関わっていましたので、改めて振り返るとそんなに経ったんだという思いもひとしおです。
スポーツも年代と共にとらえ方が大きく違い、学生時代は自分の可能性枠を拡げようという挑戦にも似た感覚があり、メジャー・マイナーに関わらず、親や友人の影響により、自分に向いているであろうと思う競技を始めるわけです。
これって、地域差も大きくあり、サッカーが盛んな地域もあれば、野球しかない地域など、一年を通しての気候も含め、多分に限定的だったりします。
地域性で言えば、弱かろうが強かろうが、余り関係の無い熱狂的ファンの多い阪神タイガースなどは良い例かもしれません。在京球団なら観客絶対入らないだろうと思える様な順位と試合でも、甲子園だけは毎回盛況です。良いか悪いかは別として、この熱が関西圏の野球人口を作っているのだと思います。
アマチュア野球の祭典、甲子園を見れば一目瞭然。今年のベストエイト進出高の生徒の出身中学は関西圏の生徒の多いこと多いこと。春の大会も大阪決戦などと揶揄され、夏までも同一カードと言うのも、関西野球の層の厚さを物語っています。
一方で、学生スポーツが終了した社会人達はスポーツとどう向き合っているかと言えば、これは一部の実業団スポーツを除けば、学生時代の延長線からのチョイスと、金銭的余裕が出来た方は、自らの嗜好に応じた多角的チョイスも可能となるでしょう。スポーツの過激さはストレス量と比例している様で、何だか笑えない一面もあります。

我々が常に頭に入れておかなくてはならないことは、『スポーツは非日常!』『運動は日常』ということです。ですから、健康維持を考えるのであれば『運動』が必要であり、“筋力維持、向上”のための運動は生涯を通しての必須要素なのです。
昔に比べ、圧倒的に身体を使わなくなって来た現代人は、自分の足で死ぬまで歩ける生活をしたいのであれば、最低でも自分の体重を支えるだけの筋力を残しておく必要があります。
文明の進歩は便利さと引き替えに身体の退化を急速に進めています。一時期、アメリカのセレブ達が日本に来て持ち帰るモノの一つとして、TOTOが合い言葉になった時期がありました。ロックの本場アメリカがTOTOかよ!ってベタな突っ込みをしながらも、それ位に日本の便座は痒いところに水が届くって感じで、世界を席巻しています。この一見便利に思える洋式便器の普及に伴い、日本では膝の不調を訴える年配層が増加しているそうです。だって和式便所は立派な“天然スクワット”であり、これこそ実生活に根付いたトレーニングと言えます。
この『根付く』というのが我々、操体臨床家にとっては非常に大事なキーワードであり、ブームや一時の盛り上がりで流行っても、継続がなければ意味が無いことで、○○健康法や○○ダイエットと同じではダメなのです。
操体では創始者橋本敬三師が提唱された『身体運動の法則』という将来にわたって伝えていかなければならない『身体の正しい使い方と動かし方』の原理原則があり、今後はこの法則を如何に一般の方々に“根付いて”行く様にアプローチをしていくかを考えなければいけない時期に来たのだなぁと、改めて感じるそんな平成24年夏でした・・
今週一週間宜しくお願い致します。