東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

p1*[岡村 郁生(おかむら いくお)] 医療水準と操体、その四

国民全てが医療を受けることができる「国民皆保険」の仕組みを維持するために、
皆さんなら、どのような提案を問いかけたいですか?

1961年に始まった医療保険もそうですが、よく言われていることらしいのですが、
社会保険のような仕組みとは面白いことに、25年〜30年は安定し、
そこからは間に合うように修正を行うことが必要、
つまり、進化にはさらに工夫が継続できる条件になるようです。

実際、少子高齢化の進んでいる日本でも、今後医療費は増加していくでしょう。
また、「介護保険」も2000年から始まり、既に数回の改正も行われていますね。、
今年13年目を迎えますが、まだまだ順風満帆であってほしいものです。

平成22年6月の読売新聞社の報道では、特別養護老人ホームに入居待ちしている人数、
これが約42万人ですから、これをどう捉えるか・・・・。

では、今後はどうでしょう?
国立社会保障人口問題研究所が平成24年の3月に公表した統計によれば、
日本の65才以上の高齢化率平成52年(28年後)には24%から36%となる予想でした。

ここで皆さんにも問いかけたいのは、医療と介護を別々の物として分離してしまうことで、
どのようなメリットがあり、デメリットが生じているのか、身近な「環境」と捉えて考えてほしいのです。

例えば、急性期療養型病院に入院した高齢者の現在の医療保険では、医療的処置の必要性が薄くなった時点で、
退院を促される仕組みなのです。
つまり、医療費抑制のため緊急性を要する患者の受け入れ体制を維持する為、在宅療養を勧めるのです。
ここで介護保険医療保険のスムースな繋がりとなれば万歳ですけれど、一般的な介護老人保険施設では
医療的処置に対応することが困難であるため、介護療養型医療施設でなければ、受け入れができないのです。

つまり、医療水準という現実は、医療保険の仕組みがあってそこに組み込まれているから起こっているのです。
多くの人達は、出来ることなら自然に自宅で亡くなりたい・・・そう思っていることでしょう。
では、実際はどうでしょう・・・平成20年の死亡者の場合ですが113万人のうち、
自宅で亡くなっているのは約14万人、施設は4万人、その他3万人・・病院で亡くなっている方は92万人なんです。

圧倒的過ぎますよ、ニッポンに住んでいたら、ほぼどんな病気であろうと「病院死」することになるんです。

ここで纏めます。
介護に移り変わる過程を、そして医療そのものを特別とする必要性はどこまであるのでしょうか?

橋本敬三師はこんなことを書いて、誰でも死ぬ、死ねるんだ。誰でも老いる、老いる事が出来るんだと、
私自身に問いかけています。それでも出来る事が充分にある。それが有り難いんだと感じているのです。

「昭和56年の暮れからボケて来た 
 物忘れする一寸した事が思(い)出せない
  
 耄碌が始まったなと自覚した
 それがフッと思い出す 輝いて感ずる 嬉しくなる 

 最近は今の事すぐ忘れる
 他人様にご迷惑掛ける事が気になるが勘弁して下さい
 そう永い事ないと思うのでもうしばらく面倒みて頂きたい

 食物の味はボケない喰辛抱は生まれつきなのだろう
 有り難いと思っている
 量は3分の1になった すぐに満腹する
 耄碌にも楽しさがある
            58年10月はじめ おんころや」 〜イサキ2008年7月号より〜

                  
感じたままに、答えをいくつも思考して、愉しめますね。ありがたいです。