東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

p1*[岡村 郁生(おかむら いくお)] 医療水準と操体、その参

以前京都大徳寺で開催した、操体フォーラムの際に聞いた話です。

若い頃(失礼ですか)の北村翰男先生は、生前の橋本敬三先生に、、
「これからの日本はどうなってしまうのでしょう?」と、やや心配そうに尋ねたそうですが、
質問に含む不安感には関わらず(聴いていた私の主観ですが、一刀両断が如くス〜っとでしょうね)
このように答えてくれたそうです。

「まあ極楽だな」「極楽浄土だよ」・・・と。

この言葉は、何を意味するのでしょうね、どう思いますか皆さん?

例えばですが、現代は問題の答えに対する、根拠を示す必要があり、経験による効果のみ訴えても、
医学においてはエビデンスありきを求められる為、多くの場合まっとうに相手にされません。
まあ、多勢に無勢という感じですね。

しかし、その多くの根拠とは、集め終わった瞬間から過去のデータとなっているのも事実です。
ですから私自身は言いきる責任、これをを果たす師の言霊こそ”悦”として感じたわけです。


では、切り口を変えてみましょう。
現代においては、医療管理+介護補助+生活支援+住宅環境改善+予防指導を、
各地域で確立するための「地域包括ケアシステム」という仕組みが包括支援センターで行っています。

要するに、必要に応じて30分以内に駆けつけることが可能な、日常生活圏内で行える仕組みで、
高齢者を中心に「環境」の生活地域に準備される、現時点での医療水準向上への保険社会的な取り組みですね。

これを調べてみましたが、まず厚生労働省が平成20年実施した「病院に対する全体的な満足度」によれば、
外来患者の58.8%、入院患者の66.3%が満足と答えています。
もう一つ、アメリカギャラップ社が平成18年〜20年にかけて実施している調査、
OECD加盟国の地域医療満足度、及び医療制度への信頼度」においても、地域医療制度の満足度は64%、
医療制度の満足度においては58%とありました。

(しつこく)問いかけてみたいのは、医療技術の進歩は素晴らしいのに、なぜ満足度が低いのでしょう?

調査上に多かった不満の理由としては、「待ち時間(の長さ)」「医師の説明(の不足)」が上位でした。

WHOの執行委員会で、健康の定義改善を提案している項目「スピリチュアル」先進国でもあり、
ロイヤルベビーの誕生で祝福に包まれる開かれた王室の国イギリスでは、
病院側の取り組みとして、総合的、広範な医療知識を習得した「家庭医」という制度があるそうです。

日本でもまだ少しですが、「総合医」という診療科目を提示して、ミクロ的視点からだけでなく、
マクロ的視点を重視していこうとする病院も増えつつあるようですね。

では、安心感に繋がるよい医師とはどのような姿勢が望ましいのでしょう?
日本ホリスティック医学会長帯津良一先生は、著書中(ホリスティック医学入門)のなかで、
参考にしておきたい、十箇条を挙げています。

・病状説明が簡単で要領を得ている
・説明する言葉の端々に、患者に対する思いやりと配慮にあふれている
・患者から説明を受けて不機嫌になったり、怒気を含んだ言葉を発しない

・いかなる状況にあっても、患者の希望を奪い取るような言動を弄(ろう)さない
・決して患者を見捨てない。どこまでも伴走していく覚悟がうかがえる(※)
・西洋医学のレベルは、あくまでも高いものを維持している

代替療法に対して造詣が深く、それなりの見識と知識を有している
代替療法にいそしむ患者に、いつも温かい目差し(まなざし)を注いでいる
・決して諦めない。患者を半歩でも一歩でも前進させようとする(※)

・人相がよい

如何でしょう。臨生家も、指導者も、そして治療家も同様に、参考になる条件ではないでしょうか。
私自身は「指導者」を自負するべく学んでおりますが、生涯を通じて「臨生家」でありたいのです。
ですから(※)印をつけた文章の「決して諦めない」「決して患者を見捨てない」と言う言葉は、
本当の自分自身でもあり、かつ良心の見守りでもあり、私自身の覚悟でもあることを再認識させてくれました。

私自身が思うのは、受けた医療そのものでなく満足できない理由の一つに、拭い去れない不安もあるのでしょう。
では一体、不安とは何でしょう?一体どうしたら無くすことが出来るのでしょう。
ある直木賞作家は「安心感があるってことは、気持ちがいいってことだよね」と語っていましたが、

東京操体フォーラムで、いつも三浦理事長の語っている「快」。
「からだ」の要求をききわけて、「気持ちのよさ」を通して味わう。「イノチの要求」こそ「患者の要求」に適うという意味。
このシンプルで、理に適った「操体」の臨生こそ、それを解決する最短ルートなのではありませんか。

医療の水準を上げていくには、まず出来ることを学び、それを実践し、自ら律することでもあります。
それは、橋本敬三師の意志でもあり、三浦理事長から受け継いでいくテーゼ(哲学思想)でもあります。
橋本敬三師の意志を継ぐとは、師曰く、「師の成さんとしていたことを成す」ことであります。

世界文化遺産と認定された富士山には登り口がいくつかありますが、どこからでも頂上付近になるにつれ景色は同じになります。
維持するには、変化を厭わず向上心をもち、成さん為の上を目指してこそであり、維持する目標では・・と問いかけたいのです。いつも意志を頂いている「操体」に感謝。有り難うございます。