東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

p1*[岡村 郁生(おかむら いくお)]『医療水準と操体その弐』

高気圧の覆われた日曜日、参議院選挙開票も終わりました。
新たに議員となった先生方は、投票した国民の期待を、汲んで頂きながら、
今と昔の子供達が日本人であることに誇りを抱けるよう、励んで頂きたいと思います。

さて、引き続き「医療水準」で問いかけます。

どうして日本国の医療水準は、世界でも最高レベルだというのに、
日本国民の信頼度・満足度はそれに見合っていないのでしょうね?

まず、問いかけたいのは、日本国の新生児・乳児死亡率に関しては極めて低く、
OECD経済協力開発機構)の中でも優秀な水準を維持しているのですが、
それ以降の死亡率となると・・・つまり、幼児死亡率レベルになった途端、
20年近く先進国のなかでも ”飛び抜けて”高いのだそうです。

理由のひとつには、
勤務条件と労働条件の負担となりやすい現在、小児科医師は不足しています。
設備の整った病院でさえ、小児科医は需要と噛み合っていないのです。

小さな頃、親を見て申し訳なく感じたり、感謝した経験は誰しもあると思いますが、
夜間や休日に具合が悪くなった子供を、親は自分以上に心配するものですからね。
今から数十年前までは、○○医院と標榜してあるだけの個人病院が多かったので、
そこでは比較的、来院した年齢に関係なく、問診・視診から始まり、
聴診・打診など”からだ”を通しての診察があり、安心感そのものを満たしてくれました。

あれから数十年・・・もちろん一部ではありますが、
今は患者の顔も見ないで診察可能?、モニター診察法とでも言いたくなるような、
進化した診察法もあり、必ずしも”からだ”に触れる診察とは限らないようですね。
(ちょっとした皮肉を込めたジョークです、過激な発言でしたら”今”お詫びします)
 
ともかく、平成16年度日本医師会総合政策研究機構が発表している資料を紐解きます。
すると、医療満足度の高い国は、フランス95.3%、アメリカ91.4%なのに対して、
驚くことに日本は67.5%なのだそうです。

そう。私が今日問いかけたいのは・・・「医療保険診療の今後のありかた」です。
現在の日本社会では、40歳以上が被保険者となる介護保険により、
医療と介護の結びつきは(数十年前では考えられなかった)当たり前になってきました。、
例えば、「地域包括支援センター」によって高齢者に対する複合的・総合的なサービス援助を目指す施設として、
社会的サービスだけでなく、そのコミュニティーによるサービス(ボランティアも含む)が結ばれています。
保健師社会福祉士、主任介護支援専門員、介護支援専門員それぞれに、医療との連携を図るわけです)

数十年前までは、医療は医療として”治療”を担当してきましたが、医療の本来あるべき姿として”予防・現状維持”こそ必要であり、
今後はより一層の介護予防を、医療水準を向上する手段と社会の仕組みで結んでこそ、日本国民の安心感・満足感に貢献する未来なのです。

橋本敬三医師は、当時の医師会会長にそのようなことも提言しているのでしたね。
いや、まさに「操体」こそ、「環境」そのものに根付いているように感じませんか?

何かを何処かから持ってきて取り入れる考え方だけでなく、
もともとのある日本人の伝統にあるもの、つまり土台を顧みることが必要ですネ。

そうすれば、少子高齢化が進んでいるのか。
年金不払いとする若年層に歯止めがかからないのか。
今回取り上げた小児科医師の深刻な不足さえも、様々な要因はシンプルになるのです。

行動のある環境のなかで、生かされている「医療水準」の向上もあるわけです。
それには、お互いが人ごとではないのです。
つまり、有り難いとお互いに気持ちよく感じることなのでしょうね。