東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

ふれる・・・5

おはようございます。

 

操体の創始者である橋本敬三先生は医師であった。

橋本敬三先生は、昭和46年に静岡で行われた武見日本医師会長の特別講演中の、健康増進に関する発言は甚だ重要であるとして、著書の中でも以下のように取り上げている。

曰く

「 医師会の終極の目的は健康増進であるが、誰もその内容はわかっていない。
英国のトッドに会ったとき、聞くところによれば、”医師の誰に聞いてみても健康増進の論理に答えを得られなかった”と。

健康増進とは、生命体が自然環境に適応することであるのだから、新しく生態学、バイオメジシンのうちにこれを探求して、適応能力を高めてゆかねばならぬ。

医学、医療の体制は、この哲理と論理に基礎づけられなければならないのだ 」


この中の、健康増進とは生命体が自然環境に適応することであるという言葉。

自然環境に適応する為に、何が必要なのか。
何をしなければならないのか。

そうした問いかけに橋本敬三先生は、人間が自然環境に適応する為の自然法則は即に自在しており、その自然法則に合わせて生きていけば自然環境への適応能力は高まり、健康増進が可能だとした。

 

生き方を自然法則に合わせていく。
勿論、大事な事であるが、どう生かされているのかという観点も必要。

人間という生命体と自然環境との境界を成しているのはどこなのか。
何が、自然環境の中で人間としての存在を存在たらしめているのか。

皮膚が無ければ形態を維持できないのは勿論、自然環境に常に触れているのも皮膚である。

皮膚には、一般的な考え方からは想像できないような凄い働きがある。

その皮膚に、健康の回復、維持、増進へ導く立場から注目したのが、橋本敬三先生の直弟子である三浦寛先生だった。

 

皮膚に関しての研究をしている人は、まだまだ少ない。
しかし、皮膚が無ければ生きものは生きていけないのだ。

根源的であり、根源的であるがゆえに、その調和への働きかけは縦横無尽であり、縦横無尽、調和尽十方であるがゆえに、言葉にするのが難しい面も多々ある。

操体の臨床の場での皮膚へのアプローチにしても、その効果は、こうすればこうなる的な枠には納まりきれないのだ。

 

三浦寛先生は以前、「師の成してきた事を成すのではなく、成さんとしてきた事を成す」と言われていた。

三浦寛先生の師である橋本敬三先生の成さんとした事が、真の健康増進への貢献であるならば、皮膚へのアプローチもその一つだし、新たに提唱している新重心理論もそうだと思う。

そうした生き様にふれる事で、三浦寛先生から学ぶ私達の触れ方も、より臨床効果の高い触れ方に変わっていくような感じも受ける。

 

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