10数年前、私はそれまで講習で指導していたものを止めた。
プロ向けの臨床操体の講習だ。
現操体プラクティショナーの中にも受講したメンバーがいる。
私が習って、それまでやってきたものは、勿論第一分析(D1)だった。
そしてそれは、「快方向に動かす」と言いながら、結局は「楽な方に動かしていた」ことが分かったから。
(これを仮に進化形第一分析と呼ぶ)
また、三浦先生の「快適感覚を問いかける動診と操法」を見てしまったから。
楽と快の違いに気がついてしまったからだ。
また、臀部梨状筋の痛みを取る、仙腸関節の痛みを取る、大胸筋の痛み、そけい部の痛みなど、狙い撃ちで痛みを瞬時に取るのには向いていたが、やっているうちに、どうも「痛み取り屋」になってきたようで少し嫌になっていた。
痛みを取るのはいわばいたちごっこである。大きな痛みが消えると、次は二番目に大きな痛みが浮かび上がってくる。
クライアントも「快」よりも「痛みが取れる」ほうに意識が行ってしまう。
また、三浦先生の講習では、最初から第二分析(D2)を指導していたので、私もD1メインはやめることにした。
勿論、クライアントの中にはD2が通らずD1を用いることもあった。
しかし、三浦先生の講習に参加しているうちに、「第一分析を知っている」ということは、実は非常に有利であることに気がついた。
知らないよりも、知っているほうがいい。知っていてもやらなければいいのだし、違いが分かるということは大事なことだ。
私の指導ポリシーは、第一分析と第二分析の違いをまず見せてから、だ。
フォーラムでは、何年か前から第一分析の実技指導を行っている。
第二分析は、連動の理解、介助補助、言葉の誘導など、習得にはある程度
時間がかかる。
まず最初に、ルールに則った第一分析を指導することが先決だと考えた。
これは、スペインのフォーラムでもそうだと考えた。
第一回目のフォーラムでは、第二分析の紹介も行ったが、まず、第一分析から指導する必要があると思い、二回目からは三浦先生ともじっくり話し合い、第一分析をしっかり指導することにした。
そしてわかったのは、第一分析を丁寧に行うと、限りなく第二分析に近くなるということだ。
そうやっているうちに、進化形第一分析に「快適感覚」を応用することができることがわかってきた。
何名かの実行委員にも試していただいた。
そして、私はこの講習を再開することに決めた。
プログラムはアタマの中ですでに組み立て上がっている。
操体には無限の可能性がある。
足をクロスした状態での膝の左右傾倒と足関節内反外反の混合技(?)