東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

全日本フィギュアスケート選手権「男子ショート」

おはようございます。寺本雅一です。本日から7日間、ブログを担当します。
どうぞ宜しくお願い致します。

昨日、12月21日の夜。テレビで放送されていた全日本フィギュアスケート選手権2013「男子ショート」。
見ていた方も多いのではないかと思います。
一日目、このホットな話題から始めます。

唐突だが昨日の夜、27歳の高橋大輔選手の滑りを見て、言葉にできず思わず涙してしまった。
年齢が近いから、ということもあるのかもしれない。
結果的には、得点的には、第四位。でもそんなこと関係ないよ、と思えるくらい
見ている者の「芯」に訴える滑りだった。不思議なもので、彼がスケートリンクにスタンバイし
ピアノの音から伴奏が流れ始め、「舞い」始めたその瞬間から、目頭が熱くなり、からだにスイッチが入ってしまった。
なぜなんだろう。そのことが意識から離れず、しばらくその感覚を味わっていた。

後から知ったことだが、彼は怪我をしていたこともあり、今回の大会に決して万全といえるからだの状態で臨んでいない。
また、そのこともあり十分な練習も行えていなかったという想いがあったそうだ。
そんな心境を抱えながらも、彼は舞った。色々な状況をすべて受け止めた上で、「いま」という瞬間に生きる人間の姿。
言い訳など一切感じられなかった。「我」という意識も彼の滑りからは感じなかった。
気付くと氷上で表現されるからだの動きに呼吸を重ねていた。

スケートの評価基準のことはよくわからない。でも昨日の彼の滑りにはひと味違う「底光り」した魅力
太い「軸」を感じ、点数では評価しきれない競技としてのスケートの「先」に在るものを魅せてくれたようにも感じた。
月並みだが、その有り様が強く、美しく見えたのだと今は思う。

最後に、ショートを終えた後のインタビューで彼は「自分自身」という言葉を使っていたのが印象的だった。
「あぁ、やはり高橋大輔は『自分自身』と日々向き合っているのか」と思う。
一番油断ならないのは「自分」なのだ。誰もみていないところでも「自分自身」はちゃんと見ている。
思えば、「自分」ばかりに気を取られ、「自分自身」と対話することを忘れ
外側を磨くことにばかり頭を働かせてはいないだろうか。
彼のスケート、「生き様」を魅せてもらって、背筋が伸びる想いがする。