東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「動」について

臨床を行っているとこちらの指示する通りに動ける人と動けない人がいる。

これは私が操体の臨床を行う上で、ずっと頭を抱えていた問題で操体の臨床家にとって一度はぶつかる壁だと思う。

果たして動ける人と動けない人の違いは何なのだろうか。体の動きを知らないからだけでは済まされない何かがあるのではないだろうか。

この問題の要因は被験者の「意識」が大きく関与しているのだと思う。

それは自己責任を全うするという意識とも言えるが、己が使わせて頂いているカラダなのに使い方が分からない、手入れの仕方が分からない、壊れたらお医者さんに治してもらえば良い、こういった意識にカラダが反抗し、動けなくさせているように思う。

こういった意識で生活している患者は、カラダを治してもまた病を作り、治しにくるという繰り返しになる。

それを繰り返さない為にも患者自身の思考や意識を変え、自分のカラダやイノチと素直に向き合えるような臨床と哲学が操体にはある。それを成す一つの栄養となるのが「快」なのである。

快を味わい、自分の心と意識の中にそれを受け入れることで己の生き方が変化し、カラダもその意識の変化に素直に反応するのである。

こういったことを理解してきたので私自身、自分の臨床のテーマに「患者の生き方を変える」という目的を持つようになった。

とても壮大なテーマかもしれないが、ただカラダを治すだけの臨床家にはなりたくない。

患者の心とカラダ、そして意識が快のベクトルに向かい、その先に自分の生き方に責任を持つようになる、そんな臨床が出来る臨床家を目指している。