東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

睡眠によって。

おはようございます。

  まだまだ日中は暑いですが、夜は随分と涼しくなってきましたね。コオロギの鳴き声も聞こえてきて、秋の気配すら漂ってきています。
    昨日はよく眠れましたか?
 猛暑が続いていたころは、布団に横になってもなかなか寝付けなかったりとか、眠りについてもすぐに途中で目が覚めてしまったりとか、よくありましたよね。よく眠れないという事も、からだの歪みにつながりやすい。眠りの質にも関係しますが、眠りを妨げられるのは誰でもストレスですものね。
 毎日、眠ることができる。当たり前のことのようですが、有り難い事なんですね。

  誰でも、日中に様々な動作をしている。重いものを持ち運ぶことが多い人、車の運転が多い人、デスクワークの人、色々な職業の人がおり、色々な姿勢から色々な動作をしている。その動作が不自然であれば、局所的に疲労を蓄積することになる。
 疲労を老廃体液が貯留して異常な緊張感覚が起こっている状態としてみる。その状態から時間的にも、空間的にも無理をすれば骨格関節にも変位が生じてくる。局所の変化が波及して歪まぬよう、バランスの崩れとならぬよう、姿勢を変えてそれまでの動作とは違う動きがしたくなる。
 畑仕事をしている人が、疲れを感じて、腰を伸ばしてトントンと叩いている姿などは、この現われだと思う。

  そうやって日中にも、からだから感じとることで、疲労を蓄積しないように、誰でもしていることがあると思うが、どうしても不十分だ。
 自然の力を借りるしかない、自然に癒していただく。それが睡眠ということでもある。
 寝相も、その現れであり、眠りながら色々な動きをするのは、力学的に体重力を活かして、局所的な緊張変化、内圧の変化、脊柱配列の変化などを調整し、からだの歪みというストレス状態にならぬよう潜在意識が働きかけているものである。

 潜在意識が行なっている自然良能作用。これを橋本敬三先生は、天の御中主(+)(-)のバランスの神様が行なっているとも表現している。太極のことである。太極の意志である愛と調和が、人間にも貫通しているからこそ、潜在意識が自然と一体となり、自然良能作用が現れる。
 潜在意識は宇宙意識とつながっているというが、何だかわかるような気がする。宇宙という現象も太極の意志という潜象の現われなのだから。

 寝相というのは、動きによって力学的外圧を活かしているだけではない。呼吸によって空間と交わりながら内圧と、そのリズムによっても自然良能作用を発揮している。空間のみならず、無意識の中で時間的なことが加わってくるのだから、宇宙を意識せずにはいられない。
 その時空では、時間も一方通行ではなく、時環となっていることだろう。そうでなければエントロピーは増大するばかりとなってしまう。人体は小宇宙だと表現する人も多いが、正にそうなのだと思う。

 眠りというのは有り難いと思う。絶対的「救い」の世界でもある。眠るときは、相対的な思考は、はさまぬほうがよい。その日一日がどんな一日だったとしても、生かされて生きた事には変わりないのだから。その事実は絶対なのだ。「有難う御座いました」と言葉にだしてみる。
 絶対的なものに意識を向ければ、嫌な事があった日でも、心は落ち着いてくると思う。あれこれ考えず「有難う御座いました」で区切ってしまう。そして、自然に身心を委ねる。潜在意識に、より良く働いてもらうためには、生かしてくれている自分自身に対する、また自然に対する、そういった働きかけも大切だ。
 人は日々、生まれ変わっている。その変化を有り難く受けとり、より良く快適になる生まれ変わりとしたいものです。