今回のテーマは、 『陰陽』。
陰と陽は占いとして、陰陽道とか風水だとか、これらは同じようなものであるが、その他にもタロット占いとか、四柱推命だとか、あれやこれやと占星術に関するものがある。 しかしこういったものは、高度な数術や高尚な哲学、それに豊富な人生経験や鋭い洞察力が求められる。 このような占いに関する内容については、私にとって荷が重すぎるので、陰陽の内、呪術や占星術にかかるものはテーマから省かせていただくことにする。
というわけで、操体臨床に関係の深い、主に中国医学における陰陽五行説に限定して話を進めたい。 まず、人の健康状態というのは、その人の顔色を見ればはっきりとわかるようになっている。 陰陽五行説によると、五臓六腑のそれぞれが五つの色として対応している。 健康状態の人の顔色では、これら五つの色が薄く均等に混ざり合って艶のある肌色になっている。 これは臨床家にとってきわめて重要な診たての要素である。
顔色 |
内臓疾患 |
疾患の腑 |
罹 り や す い 病 気 |
赤 |
心臓(循環器) |
小腸 |
心臓疾患、リウマチ性疾患 |
白 |
肺(呼吸器) |
大腸 |
潰瘍性疾患、便秘、皮膚病 |
青 |
肝臓 |
胆のう |
肝炎、中枢神経疾患 |
黄 |
胃(消化器) |
糖尿病、十二指腸疾患、胃の疾患 |
|
黒 |
腎臓 |
膀胱 |
腎不全、膀胱炎、婦人科疾患、前立腺肥大 |
というのも、内臓と肌の色は健康状態に深く関係しているからだ。 心臓や小腸が悪ければ赤色に、肺や大腸が悪ければ白色に、肝臓や胆のうが悪ければ青色に、脾臓や膵臓や胃が悪ければ黄色に、腎臓や膀胱が悪ければ黒色がかった肌色になる。
臨床において、もし黒色がかった肌色であれば、腎臓や膀胱や子宮に疾患があるということだから、背骨に何らかの異常が起こっているものと推測できる。 そこで胸椎の9~11番の椎骨を触診しなくても、その椎から出ている神経回路が狭められたり塞がれたりしていることが、おおよそ想像できるのである。 このように、問診票を見なくても顔色を見れば大体の病気がわかるということだ。
また、健康診断書では正常となっていても、これらの色の一つ、あるいは二つの色が顔に色濃く出て、肌に艶がないとなれば、注意が必要だ! いくら本人に自覚症状がないといってもすでに病気の種子が育っていると考えるべきである。
たとえば 「色白美人」 などと世間ではいっているが、色白な人は便秘が多いのが特徴である。 そしてその便秘は一般的に大腸の病気と考えられていて、その大腸は肺の腑であり、肺も悪くしていることになる。 それは顔に白色が濃くでてくることでもわかる。 また、便秘は腹部内臓を包んでいる腹膜にも疾患をきたしている。 その腹膜には血管や神経が走っており、そこに支障があれば、末端の腹部内臓の機能は当然に落ちてしまう。 たかが便秘といえども、多様に疾患の影響を及ぼしているのだ。
明日につづく
おしらせ
2015年冬季東京操体フォーラム 12月5日(土)6日(日)二日間開催決定
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