東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

くいつく④・・・鯉より。

おはようございます。

 

そろそろ端午の節句。鯉のぼりの鯉も大きな口を開けて、空を優雅に泳いでいます。

そういえば、鯉には胃がないそうですね。

人間の場合は、食べたものは食道から胃に入り、食べ物が一時的に貯蔵されたり、蠕動運動と胃酸によって消化され、小腸に送られます。

この胃が無いという事は、普通に考えれば食べるものは限定されてくると思えるんですよね。サンマやイワシみたいにプランクトン主体とか。しかし、鯉は雑食性でなんでも食べるという。

 

鯉には、喉の奥に咽喉歯があるということも一つの要因でしょう。ですが、それも含めて胃がない事で、かえって環境適応能力が高くなっていると思えるのです。

食べたものを胃で消化できるという事は、からだが求めていない食べものが入っても、ある程度のものは無害化し、腸で吸収しやすい状態にできるという事でもあります。

逆に考えれば、胃が無いという事は、それだけからだに合った食べ物を摂取しなければならないという事になってきます。

そうなると食性は絞られてくると思いますが、それを雑食性の食性でこなしているのは凄いと思います。

消化酵素の働き云々にも関わってきますが、酵素のことを考えれば、環境との調和という事が不可欠と思います。

 

鯉は食物を食べる時、泥土と一緒に吸い込むようにして口に入れるといいます。そして、

タニシなどの貝類は喉の奥にある咽喉歯で噛み砕き、鰓のところで濾過して食べるという。

濾過されて、要らなくなった泥土や貝殻などは鰓から出ていく。

それから、口のなかの味覚をはじめとする感覚器も、いろいろな味、ものを識別するよう、人間の何倍も敏感だとききます。

そういったことを踏まえると、ただ餌に喰いついて腹に収めているわけではないことが理解できます。

そこには、本能的にからだにききわけ、その環境で生きていくための身つくりがあると感じられます。

それが、生命力につながり、魚の中で最も長生きできている秘訣なのでは、と思います。

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