東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

くいつく③・・・おじさんの話より。

おはようございます。

 

子供の時、釣りをしていた頃の事で、もう一つ思い出したことがあります。

釣りをしていると、たまに出会った初老のおじさん。

 

おじさんは、こんな話をしてくれた。

「釣りってのは、おじさんもやってるけど、ずるい遊びなんだ。みんな食わなきゃ生きてけねえだろ。
そこに付け込んで、餌を垂らして、腹空かせて喰いついてきたやつを釣り上げるんだからな。
だから、やたらめったら釣り上げればいいってもんじゃないよ」

 

また、こんな話もしていた。

「釣りってのは、魚に気に入ってもらわねぇとな。川の水の中は何もねぇわけじゃなく、他にも喰いもんがあって、そっから、どうこっちの餌に喰いついてもらうかなんだ」

 

おじさんは、いつも鮒や鯉を狙っている様子だった。魚籠の中はいつも30~40センチの鮒が1、2匹入っていた。おそらく小さなものは、逃がしていたのだろう。

餌はミミズとわけのわからない幼虫や練り系のものと何種類か用意していた。そして微妙にウキ下と重りを調整している。

私は子供の時、鮒や鯉は口が下向きについていて、川底の餌を吸い込むようにして食べるという習性を知らずに、ハヨもオイカワも鮒も同じように釣り糸を垂れていれば、釣れると思っていた。餌だって、おじさんのように魚の求めに合わせるような気遣いはしていなかった。

それでは魚に気に入ってもらえず、釣果も上がらなかったんですね。

 

求めるニーズにどう応えるか。ある程度の知識はもちろん必要だが、そこから先は魚に聞くのが一番確実。魚に聞くといっても「こうすれば釣れるよ」と教えてくれる訳ではない。

感覚を頼りに、おじさんの言う「魚に気に入ってもらえる」ように、努めるしかないのだと思います。

f:id:tokyo_sotai:20180421121707j:plain