東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「よくわかる操体と操体法」7

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あまりよくわかる説明かどうか果てしなく謎で申しわけありませんが、操体あるいは操体法のしっぽが少し見えたでしょうか。
 
なお、他でも書いていますが、操体操体法の違いを説明します。
 
操体法、は、操体の中でも「臨床」の部分を指します。つまり、操体法は、操体の一部分にあたります。なので、操体法だけ(つまり、臨床やテクニックのみ)勉強しても方手落ちということです。我々東京操体フォーラム実行委委員は、操体をまるごと勉強している、というわけです。
 
このあたりは、我々のちょっとした「心の支え」です。
操体の一部分だけではなく、橋本敬三の世界観や哲学を含めて学んでいる、ということなんです。
 
なお、私自身は自分の勉強もまだまだですが、後輩の育成にも力を入れています。
 
私の知りあいで、ある技法を教えているその業界での第一人者の先生がいます。
その方、昔大先輩に言われたことが「間違ったことを教わっても、困るのは自分だけ。でも、間違ったことを教えたら、教えた人の分だけ困る人が増える。なので教えるということについては、細心の注意を払わないといけない」ということなのだそうです。
 
操体に関しては「間違ったこと」というよりは、「からだの理に適っていないこと、環境に適っていないこと」かもしれません。
 
また、橋本先生が現役で臨床をなさっていた時代と、現在は、やはり環境が大きく違います。
1945年(昭和20年)、800年続いた武士の時代(陽の時代)は、終わりを告げました。1945年から800年は「陰」の時代に入っています。むこう700年くらいは「陰」の時代が続くわけです。
物質的で男性的な時代から、感覚的で女性的な時代にはいり、それが続くということです。
 
我々は陽の時代から陰の時代の転換期(800年といっても急激に変わるわけではなく、徐々に変わると思われます。800年のうち、最初100年と最後の100年くらいは、転換期です)を経験しているわけです。
 
操体も、
 
0. 正體術の時代
1 第一分析
1-1 楽な方に動かして瞬間的に脱力(楽と快の区別がはっきりしていなかった)
1-2 橋本先生「動きより感覚を大事にしなさい」「きもちのよさでよくなる」

楽(運動分析)から快(感覚分析)への変革
 
2 第二分析
3 第三分析
3-1 面の渦状波
3-2 点の渦状波
 
からだの中心、腰を要とした動きから、末端からの動きへの変革
 
4 第四分析
5 第五分析
 
 
というように、大きく変わっています。
 
 
何故、操体が進化してきたか。
それは、時代や環境が変わってきたということもあります。
 
医療の世界にしろ、セカンド・オピニオンが当たり前になりました。
 
昭和の時代は、バキバキ、ボキボキというような他力暴力的な施術がまかり通っており、指圧やマッサージも「強圧」というのが流行っていたそうです。
また、
「はい、治った~!!!」と、いわゆる口で「治す」治療家もたくさんいました。
一方、鍼灸師などは、職人気質というか、患者さんとコミュニケーションをとらないで「治せればいい」というスタンスが多かったようですが、今ではそうはいきません。
 
なお、橋本敬三先生が若き日の三浦寛先生におっしゃった言葉です。
 
自分のやっていることは60年先を行ってるんで、今、理解されなくても仕方ない。
 
操体の常識は世間の非常識でした。
 
 
ところで、最近伝統療法カンファレンスに参加したところ、腱引き関係の方や、その他の参加者の方から「きもちいい」という言葉を結構聞きました。
 
まだまだ「言葉のみ感」は、ありますが「痛くなきゃ、我慢しなきゃ治らない」という時代から「きもちのよさで、よくなる」という時代に「本格的に」入って来た気がします。
 
一週間ありがとうございました。
 
明日からは、操体をこの世で一番知っている人、三浦寛先生です。