自分自身の講習でも、東京操体フォーラムでも「般若身経」というと「あ、あのラジオ体操みたいなヤツね。楽勝楽勝」となる。
というのは、ラジオ体操を難しいと感じる人はいないからだろう。
しかし、実際やってもらうと、殆どの人が頭を捻る。
つまり、できないのである(武術などをやっている人は、できることが割とある)。
からだを動かす時に、重心が移動するとか、母趾球(末端)が支点になるということは、考えたことがないのだろうと思う。
1.無意識にできるようになるまでやる
自然体立位の基本だが「足は腰幅、つま先と踵は平行に」と、指示しても、大抵は前屈ワンセットをしただけで、つま先が開いたり、形が崩れている。
最初は今まで生きてきた「クセ」があるので仕方が無いことなのだが、時を経るに従って、崩れなくなってくる。
これは、車の窓拭きとか床拭きではないが、普段の行動の賜物である。
2.ゆっくり
操体法を指導する場合、一番気をつける点は「ゆっくり」表現してもらうことにある。
というのは、早く動いて「うごきをごまかす」場合があるからだ。
繰り返しやっていると、いつか、できるようになる。
私はこれを「Fコードの法則」と呼んでいる。
Fコードというのは、ギターのコードのことで、人差し指で一弦から六弦まで押さえるバレーコードの中でも、一番難しいヤツだ。
最初はどんなに力を入れても音が出ないのだが、練習を続けていると、ある日、力をいれずとも音がでる日がやってくる。
ダニエルのように、とっさの時に受けられる。シャオドレのように、無意識のうちに上着をハンガーにかけるように。
なお、蛇足だが、東京操体フォーラム実行委員のメンバーは(家ではどうだか走らないが)、三軒茶屋ターミナルビルの玄関では、靴を揃える。
「靴を脱いだら揃える」というのがクセになっている。
以前、ある武術の先生が「私はサムライだから、草履を脱いでも揃えない。武士の家には下男がいるし、道場にも下足番がいるから」とおっしゃっていたが、
我が家は武士の家ではないし、道場でもないので、靴(サンダルでも下駄でも)脱いだら揃えるようにしている。
無意識にできるようになるまで、繰り返しやることが、習得のコツである