(つづき)
身近な言葉をもたない生き物。
例えば親しみを感じる植物などに触れているときのしずかな間。
そういう間の時を味わうことが、日々目にみえない流れに流されがちな生活のリズムなかで自分にとって大切なものだと感じるようになった。
この感じが何かに似ていると思っていたが、こういった空間はからだに触れているときの感覚にとても似ているような気がする。
普段自分が使っている言語ではない何かで、言葉をもたない生き物のことを感じる。
植物もからだも言葉ではない何かがひびいている。
そのひびきのことを生活の中ではすっかり忘れがちになっていると思う。
昨日まで目の前で光りを帯びていたものが、今目の前ではその光を失っているかのような、
そんな不思議な忘れ方。
すぐそばにあるのに忘れていることを思い出す。
そのしずかなうごき、しずかな間が本当にかけがえのないものではないかと感じられてくる。