こんばんは森田です。
今日は耳鼻科で臨床を見学していました。
花粉やインフルエンザなど、この時期は小さい子供連れの患者さんが多いです。
ドクターはホッとさせてくださる笑顔の持ち主ですが、
真剣に考え事をしている表情だと、どうやら子供には怖く見えるらしいのです。
ただでさえ白衣の男の人には「きっと痛いことをされるに違いない」と
子供はびくびく、きゅーっとからだを固くしがちです。
ちょっと診察の様子をシュミレーション(?)してみますと…。
お母さんに抱えられて椅子に座らされただけで恐怖にひきつる子供。
鼻の穴に薬をスプレー。シュー!
鼻にガラスのチューブを突っ込んで鼻水を吸う。ずずー!
耳の穴に耳鏡を差し込んで中耳炎を起こしてないかチェック。
のどを見ます。「お口あけて〜。あーん。」舌圧子で大きく口を開けさせられる。
おえ〜、ごほごほ(涙)。
ここまでで、最初は静かだった子供も大泣きします
(もちろん、ずっと静かに診察を受ける子もいますけどね)。
泣き叫んで暴れると、「動くと耳の中が痛くなるから、もう少し我慢してね」
と、看護婦さんとお母さんがぎゅーっと押さえつける。
本当は痛くなくても、母が守ってくれないことへの悲しみなんかもあいまって、
子供は自分自身の恐怖心で痛みを倍増させてしまいます。
実際、中耳炎を起こしていたりすれば、
耳の中を触られれば想像以上に痛いので、暴れたくなる気持ちもわかるのですけどね。
しかし、そんな子供たちですら、最後に胸と背中に聴診器を当てたとたん、
「あれ?なに?」という顔でぴたっと静かになります。
それはもう不思議なくらいに泣き止むのです。
私は子供が来院するたびに観察していますが、十中八九、聴診器で泣き止みます。
こころが落ち着くのか、安堵の表情でゆったりします。
不思議に思って、聴診器をお借りしたところ、ゴムを皮膚に当てると非常に心地よいのです。
それまで心にあった「恐怖感」や「痛み」を、ぴたっと止めるほどの威力のある「心地よさ」ってすごいと思いませんか?
また、胸や背中など、感覚の鋭い所に触れるからこそ、その威力が発揮されるのかもしれません。
そういえば、ころんでぶつけたところに手を当てただけで、少し痛みが治まるとか、
ざわざわ、イライラしている時に、信頼してる人にそっと肩に手を置かれたら気が落ち着いた、とか、皮膚を通して「何かが治まる」ということは体験します。
猫だったら自分で毛繕いをしてこころを落ち着けたりしますよね。
そう考えると、普段身につけている衣服など、
素材によってからだに常に緊張感を与えているのか、リラックスを味わう生活をしているのか、
大きく違ってくるのかもしれません。
皮膚はまだまだ知られていない可能性を秘めています。
私も患者さんへの触れ方を、聴診器に負けないようにしたいなあ、と思った1日でした。
森田珠水
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