東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

2つの額縁 〜パート2〜

さて3日目の今日も昨日に引き続いて整骨院の額縁のお話です。

うちの整骨院にある2つ目の額

これは三浦理事長の治療院に飾ってある物をコピーして頂いたもので
『歩み入る者に やすらぎを 去り行く人に しあはせを』と書かれてあります。
この言葉はドイツのローテンブルグにあるシュピタール門という古城の門に刻まれた言葉で
原文はラテン語で『Pax intrantibus, Salus exeuntibus』(来る者には平和を、去る者には無事を)と
書かれているということです。

これがシュピタール門に刻まれた原文
(旅行ガイドのサイトより頂戴)


その言葉を日本を代表する画家東山魁夷が『馬車よゆっくり走れ ドイツ・オーストリア紀行』
と云う紀行文集の中で紹介しており、その言葉を魁夷と親交のあったノーベル賞作家の川端康成
書に残したものだという大層有り難い一品なのであります。

ちなみにこの言葉は2007年にNHK連続テレビ小説『どんと晴れ』の中でも取り上げられ、
老舗旅館のおもてなしの心を的確に表現してありました。

三浦理事長からこれを頂いた時から、この言葉は僕の一番好きな言葉となり、
僕の整骨院作りの基本理念として初心忘るべからずと、
整骨院の一番目立つところに飾って置くことにしました。

この言葉が刻まれた中世のドイツは小国の領主達が領権争いが繰り広げられていたころです。
自国の領地から一歩足を踏み出せば常に危険と隣り合わせの命がけの旅となったに違いありません。
目的地にたどり着いた時の安堵感といいうものは常夏のハワイからマカダミアナッツを山のように抱えて
自宅に帰った時の比ではないでしょう。(根本的に比べることがまちがっていますが・・・) 
城壁に守られ食糧があり、人のぬくもりがある。それだけでも命を守れられている安心感と、
生かされているという感謝の気持ちを感じることが出来たのではないでしょうか。

現代では町の外に出ても猛獣が牙をむいている訳ではないし、盗賊が待ち構えている訳ではない。
『一歩外に出たら百人の敵がいると思え!』という位ですから常に社会という見えない敵に
脅かされているのかもしれません。

そんな現代社会によって疲れたココロとカラダがここで少しでも安らぎ癒される場所でありたい。
ここから出る時にはほんのちょっとでも希望の種を持って帰ってほしい。
何も特別な御馳走が出るわけではないし、とびっきり贅沢なサービスが提供されるわけでもない、
それでも誰かにとって安心していただける場所になれば良いな。日々、この言葉を眺めながら考えています。

そう言えば、毎回フォーラムが終わり僕が福岡に帰る時に三浦理事長がかけてくれる
「さようなら」ではない「いってらっしゃい」という言葉も僕に勇気と希望を与えてくれる魔法の言葉です。
「いつでもここで待ってるよ〜」という魂の居場所を作ってくれているようで何となく安心するんです。
さて4月26日は今回も東京に里帰りだ!!

秋穂一雄