東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体法は天才を育む

三日目です。よろしくお願いします。
操体法では、からだの動きや皮膚への接触の感覚から快適感覚の有無をからだに聞き分け、さらに聞き分けられた快適感覚に味わいたいという要求の有無をからだに聞き分けます。これは質の高い快適感覚をからだに味わってもらうためには必要なからだへの確認(対話)となり、無意識の世界に入る必要な一歩になります。
からだが快適感覚(気持ちよさ)を聞き分けられるまでが「動診」、からだが快適感覚が聞き分けられてからを「操法」と区別しています。この「操法」の間にからだは様々な反応を示します。中には綺麗な光を見る方もいますが、これはどのような感覚を意味しているのでしょうか。
夢の一歩から調べていくと・・・・。「共感覚」という言葉と出会いました。
共感覚」(きょうかんかくsynesthesia)とは、ある刺激に対して通常のひとつの感覚(臭覚、味覚、触覚、聴覚、視覚、動覚)だけでなく異なる種類の感覚を一緒に生じさせることができる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいい、例えば共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりするそうです。
神経学者のリチャード・E. シトーウィックは、共感覚の診断のために用いる基準を
1.共感覚者は空間的なイメージの中で、自分の位置している場所がはっきりと分かる。
2.共感覚は無意識的に起こる。
3.共感覚の知覚表象は一貫性がある。
4.共感覚はきわめて印象的である。5.共感覚は感情と関係がある。
としています。実際に共感覚者とされている人には、画家や作曲、ピアニスト、詩人と芸術家関係に多いようです。
 この「共感覚」ですが10万人に1人と言われているほどにまれな現象でいわゆる天才とされていましたが、最近の研究では機序そのものは、実は万人に共通したものであることが分かりつつあり、臭覚、味覚、触覚、聴覚、視覚、動覚の感覚の感性を磨いていくことで「共感覚」を体験できる可能性があるようです。
 操体法では動きの感覚である「動覚」、皮膚の感覚である「触覚」や様々の感覚を通して快適感覚を味わい、光を見るという「視覚」というように質の高い快適感覚から無意識の世界を通して「共感覚」を体験できているのではないかと思います。
共感覚を研究しているカリフォルニア大学サンディエゴ校のエドワード・ハバード氏は、「共感覚者は変化した知覚から強烈な快感を経験することが多い」と報告しており、快適感覚がキーワードになっているような気がします。
 したがって操体法は快適感覚を通して臭覚、味覚、触覚、聴覚、視覚、動覚の感覚を磨き天才を育む可能性を強く持っているのではないかと思います。実際に東京操体フォーラム実行委員メンバーをみても写真、絵、洋服などの芸術的なセンスは非常に高いような気がします。これは操体を通して、快適感覚を通して感覚が磨かれているからこそではないでしょうか。快適感覚とは神様がくれた最高の感覚であり、贈り物ですね。
 ありがとうございました。


佐助


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11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。