東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

からだ(2日目)

昨日の続き
二番目のからだはエーテル体だ、精気体ともいう。このエーテル体にも肉体の呼吸と同じように入ってきては出てゆくプロセスがある。肉体以外のからだから何か感覚がやってくるのであるが、エーテル的な位相にあるのは息でも想念でもない、「感化」というものである。感化がただ、入っては出てゆく。
たとえば、面識のない誰かと会った場合において、当然、その人と話したことがなくても、その人の何かを感じる。そして、その人を受け入れるか、放り出すかのどちらかを選択している。そこには微妙な感化がある。愛かも知れないし、憎しみかも知れない、好感あるいは反感であるかも知れない。これらはエーテル体のものである。誰かを好きになったばかりなのに、もう次の瞬間には嫌いになり、反感を抱くことになる。誰かを好きになったら息を吸いこんでいる。そうすると今度は息を吐き出し、嫌になる。愛の瞬間には必ず嫌悪の瞬間が続いてやってくる。
このように生命エネルギーは両極性のなかで存在している。決してひとつの極に存在するのではない、それはありえない! そうしようとする時には必ず何か不可能なことをやろうとしているときだ。だから、「昨日の友は今日の敵」という言葉があるように、友が敵になるのは当然のことである。この出たり入ったりすることは七番目のからだに至るまで起こってくる。この入ってきては出てゆくプロセスなしにはどのからだも存在できない。ちょうど肉体が呼吸なくしては生きられないように、それは不可能なことである。
しかし、エーテル体では、憎しみはそこにあってはならず、愛がそこになければならないという強迫観念を我々はもっている。それは選びはじめているということだ。その選択が動揺を生み出すことになる。肉体に関する限り、呼吸を対極のものとは見なしていない。だから、それにかき乱されることはない。自然法則下にある「生」は入息と出息の間にどんな差別もつけない。そこには道徳的な差別は何もない。何ひとつ選ばれることなく、両方とも同じでその現象は自然なものなのだ。だから、肉体の方がエーテル体よりも健全であると言える。エーテル体はいつも葛藤している。倫理、道徳からの選択が、そこから「地獄」をつくりだしてしまった。愛がやってくると幸福に感じ、憎しみがやってくると不安に感じる。しかし、憎しみは必ずやってくる。だからこそ両極性というものを理解しなければならない。
ものごとは来てはまた去ってゆく。この両極性を理解すれば、入ってくるものに魅きつけられもしないし、出てゆくもののために嫌になったりもしない。ただ、無関心であって観照しているということが求められるのである。もし、どちらか一方に執着したら、もう一方の極に何が起こるかお解りいただけるものと思う。そう、気を病むことになる、気を病んで病気になって気楽ではいられなくなる。親密な関係にある者との死別によって嘆き悲しみ、気を病んで病気になるというのはこのことである。この両極性に分裂しつづけるならば、地獄の生を生きることになる。
しかし、この両極性ゆえに肉体は存在することができる。肉体が存在するには緊張が必要である。入ることと出ることの、この絶えざる緊張が必要である。誕生と死というこの絶えざる緊張が必要だ。肉体はこの緊張のおかげで存在している。それは絶えず両極の間を動いている。さもなければ存在することなどできなかった。
エーテル体では、愛と憎しみが基本的な両極性である。基本的な両極性は「好き」と「嫌い」が瞬間ごとに「好き」は「嫌い」になり「嫌い」は「好き」になる。我々はこの仕組みがわからないでいる。「好き」が「嫌い」になるとき、その「嫌い」を抑圧して、いつも「好き」で通そうとする。「嫌い」を嫌い続けるのだ。その「嫌い」が「好き」になった瞬間を見るのを許そうともしない。我々は敵に愛を抑え、友には「憎しみ」を抑えて抑圧してばかりいる。我々はひとつの動きしか許さない。しかし、「好き」と「嫌い」はちょうど肉体における息のようなものである。どんな違いもない。
エーテル体は肉体で空気が媒体であると同様に、このような感化が媒体になる。「好き」と「嫌い」という両極性を通じてこそ、エーテル体が存在できるのである。「好き」と「嫌い」はエーテル体の息だ。もし、このことにただ無関心で観照者になることができたなら、もう笑うしかない、それはただの自然現象だということを知る。

臨床においても「好き」と「嫌い」を選択し、一方に選択していて、それが原因で病気を招いている、そういったクライアントも少なくない。このようなケースではエーテル体に対するカウンセリングを経た上で、施術に入ることにしている。そうすることによって期待した成果が得られることが多い。
明日につづく


日下和夫


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