東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

呼吸とルンバ

こんばんは。昨日お休みをいただき、週の真ん中、再び小代田です。今日も寒かったですね。今年は秋が短かかったのですが、それでも一年は変わらず、そろそろ周りから年末の準備の話が聞かれ始めました。今年もあと少しですね、皆さん悔いなく元気にお過ごし下さい。
先日患者さんが「綾ちゃん、この間試して○ッテンでやってたんだけど、肺ってすごくいっぱい気管支とか血管とかあるんだね。今まで肺ってただの袋ような物で、そこに空気が入ってるような気がしてたから、びっくりしちゃったよ」なんて興奮した様子で話してくれました。
そうなんですよね、肺ってなんだか「肺」っていう空洞の臓器があって、その中を空気が自由に出入りしているようなイメージなんですが、肺には驚くほどの細かい気管支と血管が張り巡らされてるんですよね。それにしてもこれだけのものを私達は全てきちんと使えているんでしょうか。どれ、自分のからだに聞いてみます、何だか使えていない気がします。でもこれだけの物をきちんと使えたらすごく気持ちが良いでしょうね。
さて、前置きが少し長くなりましたが、今日は肺とも関係が深い呼吸について書いてみようと思います。橋本敬三先生は私達が生命活動を全うして生きていくために絶対他人に代わってやってもらうことができない活動が少なくとも四つあり(息食動想)、その一つに呼吸があるとおっしゃっています。皆さんは普段自分の呼吸を意識することがありますか?先日面白いことがありました。いつも寝る前や一息ついた時など、呼吸に道筋をつけてからだに呼吸を通すということをやっているのですが、この間寝る前、ボーと呼吸を繰り返していました。無意識とはちょっと違うのですが、いつものように呼吸に道筋をつけず、ただボーと。すると自分の呼吸が胸のあたりを通る時何だか曲がって通って行くんです。呼吸が左に曲がって通って行くと感じると、からだは呼吸が通りやすいように私の左の肩甲骨と背中を曲げたり下に押し下げたり、呼吸が通り易いように私のからだを調節します。初めての体験だったので、ちょっとした驚きと感動、そして素直な自分の身体にちょっと笑ってしまいました。なんだこの感じ?その動きと感覚を楽しみながら私は呼吸をからだにお任せして、ただそれを感じている自分に気づきました。
この体験を通して私が感じたのは「ただ息(無意識に呼吸)をする」「意識は呼吸にあるが、呼吸自体はからだにお任せした呼吸」「呼吸に道筋を持たせた呼吸(呼吸―意識)」というそれぞれまるで違う呼吸があるということです。
橋本先生は呼吸を私達が自己責任を持って行う一つの大切な営みの一つとしてあげています。自己責任を持つというのは息(呼吸)食(飲食)動(身体運動)想(精神活動)をただ自然な営みに任せるのではなく、それを学び、自分の意思で選択していくことではないかと感じています。呼吸も同様、私達は生きていればただ自然にその呼吸を繰り返していますが、しかしこの呼吸に意識を通すことも出来ます。それに感謝することも。呼吸を通し自然とつながることも出来るのです。自己責任とは私達自身とからだを繋ぐものかもしれません。
さて、今回私が呼吸をからだにお任せした時に感じた呼吸の曲がり、きっとからだと何か関係ありそうです。からだや呼吸が曲がっていたら、発声や呼吸が大切になってくる楽器の音色に影響が出てきそうですね。今週末に迫った2010年秋季東京操体フォーラムでは音楽療法士である平田紀子先生の特別セミナーがあります。呼吸や声、心と音、音楽と操体、どんなお話が聞けるのでしょうか。今からとても楽しみです。
2010年秋季東京操体フォーラムは今週末11月20日(土)21日(日)にお馴染み千駄ヶ谷津田ホールで開催されます。ぜひ皆さんお越しください、お会いできるのを楽しみにしています。
ではそろそろ夜も更けてきましたし、今日はこの辺で。皆さん今日もお疲れ様でした。また明日お会い出来るのを楽しみにしています。今日も最後までお付き合い頂きありがとうござました。
では深々と冷え込む静岡より感謝を込めて。おやすみなさい。


小代田綾


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part 2(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。