東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

手でご飯

こんばんは、今日も寒い一日でしたね。静岡では午後から雨が降り始めました。そんな中、雨雲の切れ間から見た夕暮れの空は美しく、この世に美しい「色」というものがあることに感謝した小代田でした。
最近「低出生体重児」と呼ばれる赤ちゃんが増えたと言われています。低出生体重児とは生まれた時の体重が2500g未満で生まれた赤ちゃんのことを言うそうです。低出生体重児として生まれてくる理由は「大きく分けて2つあります。ひとつは早産のためで、もうひとつは子宮内での胎児の体重増加が十分でない、子宮内発育制限の場合です。この子宮内発育制限は胎児自身の異常によっても起こりますが、妊婦の喫煙のほか、低栄養状態(やせ)や飲酒などが原因となって起こる場合があります(以上健康用語辞典より)」と言われています。低出生体重児は生きて行くためのからだの機能が未熟であるため、生まれた後色々な合併症や問題が起こりやすくなると言われています。そしてそれは本来出産リスクが少ないはずの若いお母さん層にも多くみられるということでした。
子供は生まれてくるまでお母さんのからだだけが命を繋ぐ頼りの綱です。お母さん、しっかり食べましょう!
昨日は橋本敬三先生が唱えた私達が自己責任を持って行う大切な営みの一つ、呼吸についてお話しましたが、今日は食(飲食)について考えてみたいと思います。橋本先生は食の指針として歯の種類と数に注目されました。そしてこれに比例した食事を提案されています。歯の種類と数の割合からみると、肉1:野菜2:雑穀堅果類4となります(堅果類とはナッツや栗、胡麻などの果実・種子を総称したものを指します)。これは先生の本を読んだ方なら知っていることだと思いますが、さて皆さんはこれをどのように日常生活に取り入れていますか。
私には兼ねてから「これらのバランスは分かったが、実際日常の生活に取り入れるのに分かりやすい指針はないか…」と考えていました。「そんなの自分のからだに聞き分けてみれば分かるんじゃないか」といけば良いのですが、それぞれからだの大きさが違うようにその人が感じる摂取量の適量というものは違いますし、子供達に「この割合で食べなさい」というのも少し難しいかなと。それにそのチビ達に毎日ご飯を作っているお母さん達にこれが何グラムで、それに対してこれをこの割合で考えてご飯を作ってみて下さいというのも忙しいお母さん達を前に少々気が引ける。
それなら、これならどうだ!と、いつでもどこでも共にいる自分の「手」、その手の使って子供もおばあちゃん達も一目で分かる?食のバランスの地図帳(仮)を考えてみました。
一般的に人が一日にとれば良いとされる蛋白質は女性50g、男性60gと言われています。蛋白質というと大豆など植物性の蛋白質もありますが、今回は歯の種類と割合を参考にして蛋白質をお肉やお魚にして考えてみます。女性の50gというとちょうど小さい鮭の切り身が一個弱(大きな切り身なら2分の1)ぐらいです。最近アメリカの現代栄養学をベースにしたダイエットの本の多く出ていますが、その中で多く紹介されているのが「一日に摂るお肉や魚の量の目安は自分の握りこぶし1個」というものです。これがなかなか良いあんばいです。しかし握りこぶし1個ですと大きさ的には丁度良いのですが、立体的に握りこぶしを考えると量がやや多い。そこで量の目安は握ったこぶしの大きさで厚みは手の平の厚みぐらいとしてみます(「お肉で握りこぶしだとちょっとグラム数が多くなるぞ」という声が聞こえてきそうですが、今回はあくまで視覚的に分かりやすくしよう!ということへの一つの提案ですので、その辺り今回はそっと目をつぶって下さい)。
次にそれと同じように、野菜はこぶし2つ分、雑穀堅果類はこぶし4つ分と考えます(今回の食のバランス地図帳では豆類、イモ類、果物もここに分類します)。堅果類は馴染みが少ない方も多いかもしれませんが、この一つのポイントがナッツなどの堅果類です。そして二つ目のポイントは雑穀。良く言う野菜の一日の摂取量と比べると野菜の握りこぶし2つ分という量は少ないように思えますが、雑穀や堅果類をしっかり摂って入れば不足し過ぎるということはないのではないかなと思います。なぜなら雑穀は白米に比べてミネラルやビタミンがやはり多く含まれているので、野菜の割合が少なくてもバランスが保たれるのではないかと思うからです。それにそこは自分のからだに聞き分けて、体調によって雑穀堅果類とその割合を調整すれば良いのではないでしょうか。大切なのは肉は全体の1/7で本来は十分に足りるということです。そしてどれに偏るわけでなく万遍なく食べる。ダイエットの敵のように見られるご飯も、もちろん大切。ただ個人的にはこの橋本先生が示した歯の割合は雑穀だから成り立つバランスだとも思っています。なぜなら先ほどお話したよう雑穀は白米に比べてミネラルやビタミンがやはり多く含まれているからです。
でも農家の方が大切に作って下さったお米に優劣はありませんし、この季節の新米、炊きあげられた白いご飯は本当に美味しいものです。ですからこのバランスを目安に自分やご家族の体調に合わせてそのバランスを調整して頂いて、毎日の食事を美味しく摂って頂きたいと思います。
以外に手の平でその量を見てみると、一日の摂取量は教科書でみた総カロリーを参考にした食事量よりずっと少ない気がします。でも良く噛んでその食べ物がここに辿り着くまでの全ての物事や人に「有りがたいなぁ」と感じながら食べると足りてしまう気がします。それに「有りがたいなぁ」と思って食べると自然に良く噛んでいるので意外にお腹も心も満たされてしまいます。
全国のお母様方、そして予備軍の皆さま、少なくても良いんです。質の良い物をバランスよくしっかり食べて下さい。そしてやはりお酒と喫煙は控えめに。しっかりよく噛んで食べていれば自然にその時からだに必要ない物はいらなくなってきますよ。生まれてくる赤ちゃんにとってからだは一生もの。頑張ってください。
そして全国のお父さん及び予備軍の皆さん、奥さまや彼女を大切に、食事を摂る時は農家や頂いた命に感謝するのはもちろん、作って下さった奥さまやこれから繋がる命を大切に、「ありがとう」と頂いて下さい。
今日も話があちらこちら飛んでしましましたが、そろそろ一休みしたいと思います。
では今日も一日お疲れ様でした。未来の命を育む食卓が明日も元気でありますように。

いよいよ2010年秋季東京操体フォーラムが迫って参りました!「まだチェックしていないぞ」という方、秋季東京操体フォーラム今週末ですよ〜。急いでチェックして下さいね。

では今度こそ本当に…おやすみなさい。



小代田綾


 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。
新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part 2(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。