東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

臨床体験実習 その2

 学生さんとお話をしていると、自分が学生だった頃を思い出します。

 私はテストで赤点とるなど低空飛行ながらもなんとか免許を取りました。授業のカリキュラムも厳しかったので、挫折してやめる人もいましたが、仲間で助け合い、みんなで「国試合格しよう!」と励まし合ったものでした。卒業してしまうとなかなか会わなくなりますが、みんな元気でいるでしょうか。

さて、ストレスを抱えやすい人が、忙しさやトラブルに出合うと、
「この道を選んでよかったのかな」「ここにいるのがつらい…」と、壊れかけてしまうことがあります。学校だったらテスト、会社だったらノルマが厳しくなるなど、それに加えて人間関係が、借金が…と、本当にしんどい時があります。


 当時のクラスメイトで、倒れるまで頑張る完璧主義の女子がいました。やればできるからといって、テスト勉強をやりすぎて本当に倒れてました。徹夜連続は当然で、「60点とればいいのだから、もうからだを壊すからお願いだから勉強やめて!」と先生にとめられるほどでした。


 卒業しても相変わらず頑張りすぎ、仕事が続かず大変そうでした。私も橋本先生の「バルの戒め」話をしたのですが、当人に気づく「時」が来ていなかったらしく、歯がゆい想いをしたことがあります。ちなみに今は彼女らしくいられる居場所を見つけ、のびのびやっているようです。


頑張りすぎる人は、親の影響で、脳に「頑張らなければならない」とインプットされることが多いかもしれません。無意識を書き換える作業は、幼少時代の自分から見つめなおさないといけない、けっこう大変な(時には辛い)作業が必要になることもあります。

自分のやりたいことがハッキリしていてマイペースに進められる人はいいのですが、自分の外に価値観をおいていると、価値観を与えた人がどんなに賢く良い人であっても、自分の足で歩いたことになりません。

どんなに迷って失敗しても、自分の足で歩く方がゆくゆく強く生きていけます。なにやら自分に戒めているようですが(笑)。



 今回の臨床体験実習でも、その友人に似たタイプの方がおりました。からだはバリバリで、冷えも強く、方や足首の痛み等、症状は数え上げたらきりがないほど。
しかし、今回の臨床体験実習で操体を実際に受け、気持ちのよさで症状疾患が1つずつ剥がれていく状態に感動してからというもの、自宅でも毎日自力自動で操体を味わっているのだそうです。会う度ごとの変化にこちらが驚かされます。

また、からだの変化と並行して、精神状態が落ち着き、そのため「表情が変わった」と友人に言われるそうです。操体を共有することで、今後どう彼女が変化するのか、2人で楽しみにしています。


 橋本先生は「バルの戒め」は「頑張る、威張る、欲張る、縛る、バルという言葉にロクな言葉はない」とお話しされていたそうです。

しかしなぜだか人間はそれをやってしまう。
がんばりが抜けない人は、すでに、どこまでが必要でどこまでが頑張り過ぎなのか、よくわからないのです。必要なところに集中できず、無駄なところに頑張っているときがある…。私も経験があるのでわかりましす。


頑張る、は「頑(かたくな)」が突っ張っている状態。
言葉をみただけで、首の後ろがぎゅーっと硬くなってくる気がします。

時には、頑張らなきゃいけないときもあります。例えば介護の現場など、他に手伝い人がいない状態の人を前にして、簡単に「頑張らないで!」と言えないときもあります。


 瞬間的に、その場その場で頑張ること。時には仕方ないかもしれません。
それでも、「今だけ頑張ったら、ちゃんと自分のための休みを取ろう」としてほしい。

実力の間に合っている範囲内を見極め、バランスをとれるようになりたいものです。頑張りは、自分の中で制御して使うもの。コントロールされてはいけません。

もし頑張っていることに気づかないで、「張り」続けているなら、まずは脳の動きの「クセ」に気づくことからスタートしてほしいです。何に焦って頑張っているのか、誰のためにやっているのか、等等。
頭ではなくて、肚に落ちる気づきがあったときが臨界点です。無意識の書き換えが起これば、治りたいと思う心が道を作りはじめるはず。



頭が正常に働かないときは、からだ(イノチ)に聞いて、委ねたらいいでしょう。呼吸法が心身の健康に役立つのもそういう面があるからだと思います。
その点、操体は、皮膚、呼吸、目線、意識を通して無意識と会話をする、いいきっかけになるのです。

他の実行委員からもよく聞く話なのですが、臨床後に、静かに涙を流し、変化したこころを味わっておられる患者さんは少なくないそうです。

私も、うまくからだとこころ、そしてイノチにつながって生きたいです。


森田珠水


2011年東京操体フォーラム分科会は4月29日に千駄ヶ谷津田ホールにて行います。http://www.tokyo-sotai.com/

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