早いもので今日で1月も終わりです。
その31日間にも色々ありまして、気ぜわしい日々でした。
この時期は昨年6月から始まった東京衛生専門学校の臨床体験実習が〆切間近のため、学生さんが何人も操体を受けにいらっしゃいます。
今年は去年より5人増えての昼夜クラス合計15人でした。
彼らの話からその年その年の教室の中の空気が伝わってきて、学生時代の頃を思い出し、懐かしい気持ちになりました。
今年の1年生1部(昼)クラスは、30名ちょっとのうち半分以上が高校卒業したての現在19才です。60代の方はなく、40、50代も少数派。若い雰囲気のクラスのようです。
高校卒業すぐに鍼灸指圧あマ指の専門学校を選ぶ場合、スポーツトレーナー希望の方も多いのですが、
ひとりひとり具体的に鍼灸の道を選んだ理由を聞かせてもらうと、紆余曲折があって今があるなど、この道を選ぶ人生の「想い」を知ることになります。
私よりよっぽど苦労して、思いやり深い方もいらして、こちらが勉強になることばかりです。
当たり前のことなのですが、なにかをやろうと人を動かすものはやはり「想い」なんですよね。人を病気にするのも「想い」ですけどね。
息食動想のなかでも、想によって毎瞬の選択を為しているのですから、全てをまとめるのが「想」は大事です。
さて、学生さんたち。
操体は初めて、という方ばかりでしたが、
むしろ先入観がない利点を生かして?感覚をききわけていただきました。
とある男子は、最初のうち「ぼく、感覚が鈍いんですよね」と自信なさげでしたが、頭の思い込みとからだは別物。渦状波を始めたところ、徐々にホワッとした表情で味わっていらっしゃったりして。
結局全ての方がなにがしかの感覚を感じて、それによってからだが変化するのだということを体感して下さったようです。
全身で気持ち良さげにしていらっしゃる女子には、
「たいへん気持ちの良さそうに見えるんですけど、どこがどんなふうにいいのか教えてもらえる?」ときくと、
「いや〜楽です〜」との答え。
(おお、「楽」ときたか!)
「では楽の中に気持ちのよさはありますか?」
「苦しかったところがほどけていくのを感じます。そのだんだん楽になっていくかんじが気持ちいいです」
という感想でした。
私は「楽」とは何も感じない状態なのだから、感覚を表現する言葉ではないという認識をしていました。しかし、どうも自然にその言葉を口にする時には、なにかからだが「うれしい」と感じる喜びもあるようなのです。それが言葉では「楽」としか表現できない。でもそういう方は1人や2人ではないのです。これはなにかがあるのにちがいない。
私が考えたのは、苦しい、制限されて窮屈な状態から解放されたからではないかと。その状態とは、心身の不必要な力が抜けて、なんともいえない安堵感とある種の快適感覚が感じられるのでしょう。
楽とは「巫女が鈴を持って舞う姿を象形したもの」と、畠山先生から教えていただいておりました。巫女が舞う目的が人を楽しませるものだったり、人を病から解放させるものだったりしたはずです。
苦しさから解放されること、生き生きと自分らしくのびのびといられること。
からだにとっても要求が満たされて喜びをあじわっていることでしょう。
渦状波をとおして皮膚という無意識に問いかけた時に、からだは不可視な感覚を私たちに感覚させて気持ちのよさに委ね、不思議な感覚に時には楽しませてくれたりして、からだは治しをつけてきてくれます。
なんとありがたいことだ、と思いませんか。
楽と言う言葉は、操体を学ぶ上で重要なキーワードではありますが、目の前で快適感覚を味わっていらっしゃるひとには、今はこだわりにとらわれているときではないようです。
その学生さんに「最後に質問はありますか?」と聞くと、「どうして操体を選んだんですか?」「どうやって操体にであったのですか」という質問が多かったです。
「その話すると、今日は帰れなくなるけどいい?」
と脅して(笑)、5分くらいでさわりを説明します。あとは東京操体フォーラムのサイトとブログを紹介して終了。
もちろんフォーラムのお誘いをすることも忘れません。営業活動もしてます(笑)。
で、なぜ操体を選ぶのか。
ひとつは、操体をとおして、からだは目に見える制限、見えない縛りから私たちを解放してくれるからです。ただ痛みを取って「ハイ終わり〜」だけじゃないのです。
三浦先生も、「人は自由になるために生まれてきたんだ」とおっしゃいます。何も縛られるために生きているわけじゃありませんよね。
私は自由への可能性を拡げてゆく喜びがあるので、操体を選び続けているのです。
ね!
って、だれに言ってるのかわからん。
と、ひとりツッコミしたところで。
今日のところはこの辺で。
森田珠水
2011年東京操体フォーラム分科会は4月29日に千駄ヶ谷津田ホールにて行います。http://www.tokyo-sotai.com/
2011年2月から足趾の操法集中講座を開始します。