東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「橋本敬三から学んだ事〜その4〜」

人のカラダには利き腕、利き足、利き目があるように、利き耳があると言われている。私自身これを調べるまで利き耳は全く意識していなかったのだが、自分のカラダを通して体感してみるとこういった事は間違いなくある。携帯電話で左右両方の耳で話をしてみた感じだと右の耳は聞き取りやすく話の内容がスムーズに入ってくるのに対し、左の耳は非常に聞き取りにくい。こういった利き耳の実験を「あるある大辞典」でも行っていたそうだが左の耳が利き耳だと判断能力が遅れるという結果だったそうだ。これは右の耳は左脳、左の耳は右脳に情報伝達がされていて、右脳には言語の情報を処理する機能がないからだと言われている。こういった事を踏まえると能との相関性から「右の耳を利かせた方が良い」ということになる。
このような「利き耳」に関しての定義には賛成なのだが、この相関性は能だけではないような気がするのだ。私は人間の五感全てに「利き」があり、それは普段からのカラダの癖や重心等も微妙に関係しているのだと思っている。
橋本先生の著書には左右の利きは目や手ばかりでなく、鼻や足にも、皆あると書かれている。それは「確定的なものではなかろうか」と前置きしたうえで、カラダの骨格、体重心の関係があるのではないかと述べている。この文を読んだ時に野球選手の右打ち・左打ちが思い浮かんだ。野球をやったことがある人なら分かると思うのだが、打者は右投げ左打ち、左投げ右打ちというように利き腕の方のバッターボックスに入るとは限らないという事である。これは利き腕だけでなく利き足と五感全ての利きとの相関性があって右打ちにするのか左に打ちにするのかを決めているのだと思う。こういった事からも人間の五感には「利き」があり、それはカラダとも関係している言える。これは人間が理に適うように無意識の習慣として自然に身につけてきた知恵なのだろう。
やはり人はカラダを使わせて頂いている以上は理に適ったルールを知っておくべきである。現在、三浦先生の下で操体を学びに来ている人達は利き手に応じたカラダの使い方を勉強している。そのカラダの使い方の法則は五感にまで意識が向けられている。こういった事を学んでいくとカラダの使い方のルールは本当に奥が深い事が理解出来、そしていかに自分が身勝手にカラダを使っていたかがよく分かる。