東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

『 simple is best 』

ある日の秋穂家の会話。 

ワイフ「お洒落な家ってどんな家だと思う?ヨーロッパ風?アジアン風?カントリー風?」

秋穂「竪穴式住居風」

ワイフ「たっ、竪穴式住居!? 冗談言わないでよ!」 

冗談ではありません。本当にその様に感じるのです。我が家の中を見回してみると、本当に家電製品が充実していて便利な世の中になったもんだと思う反面、何となく「もっともっと便利に楽して暮らして行きましょう。」という妙な生活感と云いましょうか、人間の欲望の深さというものを感じずにおられません。 これは私自身の価値観なのですが、生活感というのはお洒落とは相反する感覚なのではないかと思っています。何となくですが私のイメージするお洒落な空間とは、余分なものをとことんそぎ落としていった非常にシンプルな空間。そこで到達した回答が「竪穴式住居」であったということになります。勿論本当に竪穴式住居に住もうなんてこれっぽっちも思っていないので、ふざけていると云えばふざけているのですが、思想上では本気です。

これはなにも家の中だけに限るものではありません。家を一歩出てみても自分の足で歩かなくても車や電車、飛行機があっという間に目的地まで運んでくれるし、お腹がすいたからと言って狩りに行かなくても、スーパーやコンビニエンスストアには、ありとあらゆる食品が所狭しと並んでいます。欲しい情報はテレビやラジオやインターネットが私の処理能力を明らかに超えた容量で伝えてくれますし、退屈な時間は繁華街に出て行けば時間を忘れる程に楽しませてくれます。なんて満ち足りた生活を私達現代人は過ごせていただいているのでしょう。もうこれだけ便利になれば、飢えも渇きもないし、退屈も不自由もない。この満ち足りた環境の中でどこに不快感を感じろというのが難しいくらいです。

しかし実際にはこのような恵まれた環境の中でも不快感覚は生まれて、私達のからだを歪ませ、様々な症状疾患を産み出し続けているのです。橋本先生も本の中に書き残してありますが、私達人間は本来持っていた原始感覚という神からの授かり物を、進化するに従って、知識や文明が進めば進む程、その利便性ばかりに気を取られてしまい、本当に忘れ去ってしまっているのです。交通手段が発達すればする程、私達の運動量は激減してしまうし、売る程在る豊かな食料は食べ過ぎて私達の脂肪の量を増加させる一方です。必要以上に莫大な量の情報は私達を混乱させ、自らで感じとり識別する能力を欠落させて余計な不安を煽り立てるて、そのストレスを解消する為に繁華街に出てみたら、財布の中がスッカラカンになり経済的なストレスを更に増大してしまう。

この世は本当に上手くバランスが取れているもので、10の良い事の影には10の悪い事が隠れていて始めてバランスが取れているのでしょう。良い事も悪い事も私達のからだにとっては同じストレッサーになります。美味しいものでも食べ過ぎてしまうと気持ちが悪くなってしまうし、いくら楽しくても寝ずに遊んでしまったらきっと疲れ果ててしまいます。良い事も悪い事も私達のからだに取ってストレッサーになりうるのだとすれば良い事も悪い事もその振り幅が小さければ小さい程、からだにかかるストレスは小さくなるのです。やっぱり「シンプル イズ ベスト」で生きて行くのが理想的な生活なのでしょうね。健康的な生活は本当のお洒落な生活なのかもしれません。ただ私は福岡の都会っ子なので現実に竪穴式住居に住む自信は皆無です。ヘビ怖いし、トイレも水洗じゃないと・・・本日もお付き合いありがとうございました。明日も宜しくお願いいたします。

僕はこんな飾りよりも南極の氷の上が恋しいぞ! by シロクマ

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催