東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

太極について感じたこと。

おはようございます。
今週は友松が担当させていただきます。一週間どうぞ宜しくお願いします。 

今日は11月11日ですが、なんだか前にも1がゾロ目になる日に、ブログを担当したことがある気がします。確か、11と11を漢字で書くと十一と十一となり、+(プラス)−(マイナス)に見えることから、電池の日となっていると書き出した記憶があります。今回も+(プラス)−(マイナス)をつうじて、感じたことを書こうと思います。

−(マイナス) と+(プラス)ということから、すぐに脳裡に浮かんだのが、陰と陽ということなのですが、陰と陽が何故あるのかというと、太極の意志によるのだという。
太極の意志の、太極とはどんなものなのだろうか?
これは「古事記」に、御身をかくし給いきとあるように、在るということはわかるのだが、お姿はみえないということで、自在なのだと思います。
そのお姿がみえない自在を、どう説明するかは大変だと思う。
易をはじめ、陰と陽とか太極について説明している書籍は沢山ある。皆それぞれ、素晴らしい事が書かれていて、大変勉強になるのだが、一つ気になることがある。
それは、文章は素晴らしいのだが、それを図によって説明すると、読み手の太極のイメージが固定的となってしまうような気がするからなのだ。
よく見かけるのが、太極という字を丸で囲み、そこから棒線を2本引き、一方は陰、一方は陽としているものだ。そしてその殆どが、はじめに太極から陰と陽に分かれると表現している。ここから想像すると、太極とは陰の気と陽の気が合わさった一つのものというイメージが浮かんでくる。そして、いきなりそれがビッグバンのように二つに分極するイメージも浮かぶ。そうなると、じゃあその一つの気のかたまりみたいなものは、どうしてできたのか、誰が創ったのか、それとも、それは偶然できたものなのか。ということになってくると思う。
このあたりは、宗教とかも色々と絡んでくる為、一般向けの書籍としては、誤解のないように、あえてそこまでは言及しないのかもしれない。
しかし、その根源的なことを追求し、一般向けにも書き記したのが、操体法の創始者、橋本敬三先生だった。
「救い」と「報い」の識別について悟った橋本先生は、著書の中でも度々、この根源的な事柄について記述している。
例えば「生体の歪みを正す」の284ページにはこう書かれている。
 東洋の考え方では、陰陽はもちろん二つの異質のものではあるが、二つは必ず相対して存在し、大きく見れば、これは一つのものである。時に二つの面として現われる。二は一にして、一は二だと言う。陰陽未分の一なるものを太極と言う。この太極が万物発祥の源だと言う。 
ここまでは、陰陽や太極に関する一般的な書籍でも、同じようなことを記載しているが、分かれるという表現はしていない。
そして、ここから続けて、
太極は無極無限であり、無限界のうちに陰陽の現象が展開するのであって、現象のうちには無限が貫通普遍していると言うのである。 
と書いている。
ここまでのことは一般的な書籍では、なかなか書かないと思う。そして、ここまでくると、一つのものは一つのものでも、それまでの一つのもの的なイメージを超えていかなければならなくなる。そして一つのものが、そのまま分かれるというイメージも、拭い去らねばならなくなってくると思う。時間や空間もないが、この世のものはすべて在り、この世でこれから起こることも、過去に起こったこともすべて在るという一つのものなのかもしれない。無極無限そこに陰陽の現象が展開する。
それを図にしたものが、285ページに描かれている。興味のある方は一見されたし。
文章をつづけると、
 私はこのことを思い浮かべて、西洋の最高原理よりも東洋の考え方の方が一段上だと思った。そして宇宙と言っても現象界のことであるが、そこに神が普遍しているというのは、なるほど本当だと思った。神は愛だというが、愛とは陰陽の親和のことであって、ムスビというのはこのことだと思った。聖書に「元始に言あり、言は即ち神なりき、万物これによりて成り・・・」とあるが、言が宣せられるということは、陰陽未分の一なるものの意志が陰陽二質を現わして、そこに運動が起こり、物象が形成せられることであろう。 
つまり神とか、陰陽未分の一(太極)の意志という、人智を超えたものが自在することを認識しなければ、宇宙の根源である太極の説明は不十分なものとなってしまうのだ。
 目に見えるもののイメージのままだと、相対的世界観を超えることができない。しかし、絶対的世界は自在する。絶対的自在、絶対的救いがなければ、相対的世界である現象界は存在しない。イメージが3次元空間(相対的世界)を超えられないのであれば、ただただ感じるしかないのだと思います。それは普遍貫通しているのだから。
また380ページで少し言葉を変えて説明しているものも抜粋します。これも一つのものが、そのまま分かれるというイメージではないことを現していると思います。
神は実相理念をもって万象を創造したのであるが、無限界(太極とも言う)のエネルギーに陰陽を設定し、陰陽分極によってこの異質のもつ親和反発性を波動に変えて現象を具現化させたのである(太極は陰陽未分、二にして一、現象は一にして二なる陰陽が分極して発したもの)。




2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催。