東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

卜伝さんから操体を学ぶ その3


剣をとればメチャクチャに強い卜伝さん。

流派は新当流と名付け、それは「心を新たにして敵に当たる」という意味からくるそうです。


むむ、何だかワタシらのやってる仕事ともつながりそうな感じがしますなぁ。


三浦先生は臨床において「魂胆を持つなヨ」と言われます。

さらに「情報に惑わされるな!」とも言われます。


魂胆とは何でしょう?


つまり実際の施術で「ああしてやろう」「こうしてやろう」という姑息な策は持つなということです。

最初から策を決めれば(例えば腰痛に効くという技術的なマニュアルとか)、

例外にあたったときに身動きがとれなくなりますから。


では情報に惑わされるとは一体どういったこと何でしょう?


例えば患者さんの言われる「ここが痛い」「ここが悪い」という情報です。

確かに患者さんの言われることはきちんと聞かなくてはなりません。

どこに快復のヒントが隠されているかわかりませんからネ。


でも、情報だけに捉われると今現在の「素の状態」がわからなくなる恐れもあります。

それはお医者さんがつけた病名もそうかもしれませんし、

他の治療院で言われたこともそうかもしれません。


生命は流動すると考えれば、一番知りたいのは「今ここ」の状態です。

決めつけはしないで、その場その時に応じながら新たな気持ちで

からだそのものと向かい合うということが大事なのかもしれません。


つまり「こないだはこうだったから、今回もこうだろう」なんてのはマズイというわけですナ。

いやいや、こないだどころか一度の施術の中でもからだはどんどん変化するもんです。


特に操体は感覚の世界ですから、いつでも「心を新たに」していかなくては間に合わなくなっちまいますぜ。



中谷之美