東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

徒歩0分

「真理」について
「名称は違うけれど同じようなもののことを言っているのかな」
と、操体の学びの世界以外でも
改めてよく目にする、耳にするように感じます。
世の中の関心が、底の方でじわりじわりと高まっているような気持ちもします。

7/6(土)のNHKで、こんなドキュメンタリーを放映していました。

「足元の小宇宙、生命を見つめる写真家」

タイトルにピンと来て思わず見始め
結局最後まで夢中になって見ていました。
内容は御年82歳の植物写真家「埴沙萠(はにしゃぼう)」さんの
「日常」に密着したドキュメンタリー。

毎日10kg近い機材を持って
独り撮影に出かける様子がそこにはありました。
何を撮る人なんだろうと思って見ていると
目的地は家から「徒歩5分」。
何の変哲もない茂みで立ち止まり
這いつくばるようにして地面に向かう。

そして、しばしの沈黙

「えいや!」
と言わんばかりの気合いの入った接写。

また沈黙

「えいや!」

その繰り返しです。
何を撮っているのかというと
私達が普段「雑草」と総称しているような植物が
「動く瞬間」を捉えているそうです。
例えば、中心に収まっていた「胞子」の袋が「パッ!」っと開く瞬間。
そういった瞬間を見究めて写真におさめている。

またスーパーなどで売っている「しいたけ」。
あの何の変哲もないしいたけも、袋の中で沈黙している様に見えて
実は売られている間も胞子を放出し続けている。
黙って食べられるのを待っているわけではない。
風の流れない空間で後ろから強光を当てると傘の下から胞子が放出されている様子が浮かび上がってくる。
埴さんはその様子をにこにこしながら愉しそうに「胞子の舞」と呼んでいました。

私はそれを見ていて
何かとてつもない秘密を見せていただいているような気持ちになり
胸がアツくなりました。

気がつかないだけで
イノチの世界では、何かが起こっている。
それは映画館に映画を観に行くように
「放映時間」が決まっているわけではなく
今、この瞬間も起こっている。
また遠くへ行かなくても
お金を払わなくても
すぐそばで行われている営みである。

おや?

「徒歩5分」どころか
「徒歩0分」の場にもイノチがあった。
「生き物」である私のからだでも
まさに今何かが起こっている。
ただ黙って生きているわけではない。

気がつかない間も、起こっている「何か」。
操体は「徒歩0分」で起こっているこの「何か」を
見つめることを教えてくれる学びでもあると感じている。

植物写真家の「埴沙萠」さん
「絵日記」などを通して日々HPを更新されているようです。
興味を持たれた方は、お名前で調べてみてください。

明日に続きます。