(69p)
小池 これほど論文が重要しかされる背景には、やはり 「部分を集めれば全体になる」 という思考が行き渡っていることがあるのでしょうね。
一人ひとりの研究者がたとえ全体を把握していなくても詳細な論文を書くことで、将来完成する壮大な体系のための一助になりうるという考えです。
しかし、部分の集合がもし全体と一致しないのであれば、こうした方法論に関してもう一度再考する必要がありますね。
(198〜199p)
小池 統合医療もたった一つの正しい答えというものがないように思うのです。
正しい方法を探すのではなく、間違った方向へ向かわないようにするという考え方をすることが大切なんです。
甲野 それはもう消去法でやるしかないんですよ 「これはまずいね」 といって、何がのこっていくのかをよく検討する。それでも残るのは何かと吟味する。
「これが正しいんだ」とはっきりいえたのは、明治維新の時代までですよ。あの頃は 「こうあるべきだ」みたいなことが結構はっきりいえた。
それはまだ分からないことがたくさんあったからでしょう。
今は散々いろいろやってきて、例えば社会主義は理想論だとかいわれたけど、現実にやってみると、大きな問題が出てくる。資本主義の問題も山積しています。
つまり、いろいろやったけれど、それぞれ問題があったということが分かってきて、「さあ、これからどうするか」 という時代が今なわけです。
[参考文献]
- 作者: 甲野善紀,小池弘人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/06/14
- メディア: 新書
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3・11以降、学者や研究者の意見は 「参考」 となりました。かつての様な絶対的権威や威信が薄らぎました。
問題解決のためには、多くの分野の人達が垣根を越えて、素直に協力しあわなければなりません。
一番大事なのは、全体を把握する視点でしょう。そして、どの様に専門家集団を束ねてドライブしていくかです。
これじゃ特に、指揮者とオーケストラの仕事です。今後の会社における集団、組織のロール・モデルとなるでしょう。