東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

戦略論

いやぁ〜長かったぁ〜と、今週一週間を振り返っております。
いよいよ今日が最終日、最後も難しい話し(笑)で終わりたいなと
思っております。

唐突で何ですが、グローバル社会と呼ばれて久しい昨今、私も含め
日本人が世界に出て仕事をする上において必要な要素とは何でしょうか?

色々有ると思いますが、先ずは『言語』は必要でしょう、それは
何となく理解出来ます。私は某英会話教室がCMで英語が喋れれば
世界と繋がる!
などと言っていたので、そうか英語か!などと思っていたら、
フォーラムの関係でスペインに行ったときに、英語共通言語伝説は
脆くも崩れ去りました・・

ま、確かにパブリックな場所においては殆ど英語で大丈夫なのですが、
街のレストランで食事をしているときに、筆談までして、やっと通じ
たと胸を撫で下ろし、デザートに頼んだ杏仁豆腐が来るのを待って
いると、何事も無かったかのように麻婆豆腐が出て来たときは、両師匠
と共に座り暗みがしました。
ま、言語が通じないという障壁はこの様なことは日常茶飯事で、数年も
住んでいれば、完璧で無いながらも日常生活は出来ると言われています。

最近は翻訳ソフトも優秀なのが出て来始めました。昨年のスペインでも
Google翻訳でまぁまぁいけましたのでので、後、数年もすれば、
Google glassに翻訳した言葉が同時通訳で目の前に出て来て、ベジータ
様な人々が増殖すると思われます・・・ま、言語の壁もかなりハードルは低く
なるだろうと考えます。

では、言語以外で日本人が海外でビジネス展開を考えるときに足りない
ものは何でしょうか?
それが、冒頭のタイトルになっている『戦略(Strategy)』です。

戦略とだけ言うと表現が大ざっぱですが、ビジネス論だけでは無く、
一般的にはスポーツも当然、必勝のための戦術と戦略を立てますし、
究極的に言えば戦争が最も分かりやすいと思います。

戦略単独で考えるよりは、いわゆる『戦術論』『戦略論』を比較
して考えるとより分かり易いかもしれません。
昔から日本人は戦術には長けているが、戦略が弱いと言われて来ました。
歴史的に見ても日本以外に目を向けて明確な国家ビジョンを持っていたのは、
織田信長位だったのではないでしょうか。

『戦術』『戦略』を分かり例えるなら、スポーツが一番分かりやすいと
思います。大体、日本人が得意だと言われるスポーツは殆どが『戦術的要素』
が強いスポーツだと言われます。

例えば日本人が大好きな(私が)野球などは、完全な『戦術』スポーツです、
目の前に来た球を打って、飛んで来た球を皆で追っかける。
要は全て『今』目の前で起きていることに対処するスポーツなのです。
投げられた球をどう打つか、どう投げるか、あくまでも今を軸に試合が動いて
行くのが野球と言えます。

一方で、『戦略』が必須なスポーツの代表が『サッカー』や『ゴルフ』と言えます。
ゴルフなどは18ホールというラウンドの中で、距離やコースの特徴を考えた上で、
クラブの選択も含めトータル的な戦略が無いと、勝てるスポーツではありません。
どう思考し、思ったことを身体に伝え表現するかが、肉体的も当然ですが、
メンタルのタフさも要求されるスポーツと言えます。
以前に比べ、最近ではアメリカツアーに参戦する日本人選手も増えてきましたが、
まだ欧米選手に比べると、肩を並べるまでには至ってない感じです。

日本人は今、目の前にある問題を処理し解決する能力には長けていると言えます、
これが『戦術』です。数ヶ月先、数年先に対処することは無難にこなす人種のようです。
一方で将来に向けて今、無いものを作り出すなど、長期スパンで20年先を見据えて
物事を考え計画出来るかが、『戦略』であると言えます。

ビジネスの世界に目を移すと、アメリカの経済誌『フォーチュン』誌が
毎年掲載している、2013年度版『Global500(世界500社企業番付)』によると、
上位はトップが常連のオランダとイギリスの石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェル
二位はアメリカ小売り大手ウォルマート、三位もアメリカのエクソンモービル
なっております。
因みにGlobal500を国別で見ると、アメリカがトップで132社、二位が中国で89社、
三位が日本で62社となっています。

アメリカはトップで132社と最も多いですが、このトップ企業の役員の人種構成を
ご存じでしょうか?
米国企業の役員の37%はインド人なのです、もっと言えば、先程のGlobal500の企業
役員構成は一番多いのがインド、そして韓国、中国で占めています。

特にインドに関して言えばインド工科大学コロンボ大学などから、マイクロソフト
インテル、或いはGoogleに卒業生達が次々と入社しています。
日本の最高峰東京大学は23位と昨年よりも順位を上げていますが、アジアで言えば、
アジアのベスト10校で言えば、日本は東大、京大の二校のみ、後は香港を中国に含め、
中国が四校、韓国が三校とアジアで言っても、日本の大学はレベルが落ちてきていると言えます。

東大よりも順位の下位にある印、韓、中の卒業生達が何故、Global
企業への就職率が高いのか?と言えば、個々の学生のポテンシャル
が違いすぎるのだそうです。
東大以上の国内競争力の中で戦ってきた学生達は、当然、就職後の
言語の壁も無く、戦力として使えるのだそうです。

この違いは何でしょうか?一つは個々の学生の置かれている環境に対しての
ポテンシャルの違いですが、もう一つの大きな理由は卒業生達の卒業後の
『進路戦略』だと思います。
進路戦略って言うと大袈裟ですが、要は自分の能力をフルに発揮し、世界を舞台に
ビジネス展開しようと考えている学生がどれ位いるかだと思います。
もっと細かいことを言えば各国家庭での親の『子育て戦略』の結果だとも言えます。

ご存じの通り、中国富裕層は子息を早々に米国や欧州に留学させ、
卒業後はそのままアメリカ企業へ就職、韓国に至っては大学入試
には警察が出動し、大学まで送り届けるなど、どの大学を出るか
で人生が決まるという長期戦略が明確に決まっています。
子供の人生は子供の好きなように〜、などと言っている日本のぬるい
親とは違い、子供を世界の舞台で働けるような戦略をシッカリと立てているのです。
日本でも医者の子は子供の頃から、医者になるようなレールを引かれているのと
同じです。

マーケットとして考えると、日本市場は今後、超高齢化となって来て、
萎む一方で拡大の可能性は低いと言えます。
労働人口は超高齢化を向かえ、益々萎み、大手は製造現場を海外へと
拠点を移すことで、労働力の確保を図っています。
今後、拡大の可能性がある業種と言えば”介護ビジネス”ですが、
介護する側も高齢化が進み、もはや慢性的労働力不足は如何とも
し難いところまで来ています。
介護の世界や看護師の世界でも、今や海外労働者が増加しており、
日本の若者達が、『3K』等と言っている間に、働く先は益々無く
なって行くでしょう。

もはや私たちが考えるべきは、日本という限られたパイでビジネスを
思考する戦略では無く、個人事業主でさえ海外市場を見据えた戦略を
明確に考える時期が来ているのです。今すぐにでは無くても、戦略と
して思考していなければ、そのチャンスが来たときに乗ることが出来ないのです。

日本にあって海外に無いもの、海外にあって日本に無いものなど、
情報を制し、果断に決断出来る者こそが、やはり勝者になるのです。
時代に流されない強さと、時代の潮流に乗るしなやかさを身に付ける
者がいつの時代も残り、次代へのバトンを繋いで行くのです。

『遠慮無ければ近憂有り』今週一週間、いやこれからの日本人は
この言葉に尽きると言えます。
今の自分には関係の無い話しに思えるかもしれませんが、世界の政治、
経済の流れは宇宙の意志なのです。世界の状況が理解出来ない限り、
その流れに乗ることは出来ないのです。

甲午新規ビジネス・スタイルの誕生も示唆しています。
今迄考えもしなかった、新たなビジネス・モデルが誕生し、次世代を
牽引する一年になるとも言われています。
我々の業界は人に触れるという、ある意味、最もアナログな業界と言えます。
この最もアナログな業種がどの様に変革し、世界に出て行けるように
革新するかは大きな課題でも有ります。

日本という世界から見ればちっぽけな国で、派閥だとか一族とかいうちっぽけな
プライドのために、やりにくさや窮屈さを感じる位なら、世界を相手に広い
フィールドで勝負を付けるような時期にも来ています。
橋本先生も仰っていた世界に日本から輸出出来る『Made in Japan』
活かし方を考える起点となる一年になりそうです。

今週一週間有難う御座いました、来週からは三浦理事長の登場です。お楽しみに!