東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

成功体験

昨日のブログにも書いたのですが、私自他共に認めるテレビっ子で
して、その中でも幾つか愉しみにしている番組があります。
その一つが、日曜日の朝7:30からTBS系列でやっている『がっちり
マンデー』
です。サブタイトルが「日曜に勉強!月曜から実践!」
となっており、メイン司会が極楽とんぼ加藤浩次、アシスタント
が個人的に私のツボな進藤晶子です。

この番組は、多種な企業の社長が毎週登場し、毎週色々なテーマに
沿ってトークを繰り広げていく番組で、異業種の中に様々なヒント
が散りばめられており、色々な気付きや刺激を受けるので、結構愉
しく観ております。

先月、4月20日分放送の「片足のばしビジネス」というタイトルで、
内容としては本業でシッカリと軸足を持ちつつ、別の事業展開に足を伸ばす。
ピボットと言うそうですが、意味はバスケ用語なので、何となく理解出来ます。
その代表的な企業を幾つか紹介していました。

意外とビックリな企業があり、面白く拝見しました。オーディオ好き
な方はよくご存じの、オーディオテクニカです。ヘッドフォンや
マイクなど、年商240億円の企業です。

ここのピボットは何と『業務用シャリ玉製造器』です。回転寿司とかで
シャリを握る機械です。何でオーディオから寿司か?と思っていましたら、
元々、レコード針を作ることを行っていたテクニカが、1982年にCDが発売
されて、レコード針は売れないだろう、ということで様々なアイデアを出
したそうです。
そこで金型を作って部品を作る技術を応用して、シャリ玉マシンを作ったと。
ふんわりとシャリを握る独自ノウハウがあり、内部の複数の歯車速度を変
えることで調整をしているようです。今では業界二位の売上だそうです。

そして、高槻市にある『SUNSTAR(サンスター)』です。聞いたときは「え?」
って思ったのですが、サンスターと言えば歯磨き粉と言いますか、オーラルケア
がメインの企業ですが、何をやっているんだろう?と思っていましたら、
実はピボットがオーラルケア商品だったというオチでした。

サンスターのメインは1932年の創業時、自転車の部品販売からその後、
自転車用ゴム糊(タイヤ・チューブ用接着剤)を自社製造販売して成
功したそうです。当時、ゴム糊を入れていたのが金属チューブで、
ここに歯磨を入れるという発想から、1946年「サンスター歯磨第1号」
が誕生したそうです。
現在でも自転車部品やバイク(ハーレーとか)のブレーキディスクや
スプロケットに使われるなど、軸足は今でもシッカリとしています。

そしてもう一つ、最近CMでもガンガンやっているのでご存じだと思い
ますが、富士フィルムでした。
この富士フィルムも2000年頃に大きな転換期がありました。
デジカメの普及によるフィルム事業の根本的見直しです。
写ルンですインパクト大CMも含め、一世を風靡した事業
今振り返ると、10年で売上1/10にまで縮小してしまいました。
この富士フィルムの代表的なピボットは『医療機器、化粧品部門への転換です。

最初アスタリフトのCMで松田聖子中島みゆきが出て来ると
違和感があったものですが、今では定着した感もあります。
しかし、何故?フィルム事業が化粧品?と思ったのですが、フィルム
の成分の半分以上は実はコラーゲンで出来ているのです。
フィルム土台の役目を果たすコラーゲンの扱いに元々慣れていたのが、
切っ掛けになったようです。
他にも写真プリントの色あせを防ぐ、紫外線防御の技術、日焼け止め
開発にも全て生かされているとのことでした。

対照的なのが、2000年当時、富士フィルムと競合相手だったのが、
コダックでした。危機感を持って抜本的経営改革に望んだ富士
フィルムとは対照的に経営方針が曖昧だったコダックは2012年に
経営破綻しています。
しかも、富士フィルムはフィルム事業を転換してから何と、
売上を倍にしています。
その当時の役員はフィルム部門の担当役員が会社を支配していたことを考えると、
かなりの大英断だったと思います。

世界的に見ても本業からの撤退や、ピボットへの業態転換など、
様々な形で企業も生き残りを模索しています。

今の時代、絶対という言葉が使えなくなって来ました。私が高校生の頃は
大手企業に就職すれば取りあえず一生安泰だと言われていましたが、
今は大手企業でもいつ倒産の憂き目に会うかが分からない時代に突入して来ました。

こだわり無き者に成功は無いと言いますが、こだわりも過ぎると発想が硬くなり、
時代の流れや本当に大切なものやニーズが見えにくくなってしまいます。

パラダイムシフト』という概念で説明するのは憚られますが、今の
時代は過去の固定観念や概念に縛られすぎると身動きがとれなくなる
時代とも言えます。
パラダイムの魔力」(ジョエル・バーカー 日経BP出版センター 1995)
によれば、パラダイムとは成功のルールの規範であり、パラダイムシフトとは、
その規範が全く変わってしまうことを意味するそうです。

一例で言えば、「地動説」万有引力の法則」など、その時代の常識と
されている価値観や考え方が劇的に変化することを言います。

このパラダイムシフトは、世の常識人とか知識人と言われる人達から
起こるものでは無く、いわゆるアウトサイダーが起こすと定義付けています。
それがパラダイムシフターと呼ばれる人たちだと言っています。

但し、アウトサイダーパラダイムシフターが新たなパラダイム
示すだけでは不十分で、その流れが大きくなるためには、後にパラダイム
開拓者が続くことが必要となります。
結局、開拓者が現れないとそのパラダイムは挫折する可能性が高くなる。
と綴ってあります。

これらからの私たちは、仕事の仕方や、仕事の場所ですら固定観念を捨て、
取り組まなければならないかもしれません。グローバル社会という先進国
の幻想が崩れたとは言え、確実に世界との境界は低くなり、国境や人種を
越えた働き方や共存が今後の日本各地に求められて来ると言われています。

私の敬愛する”高杉東行”などは典型的なアウトサイダーであり、革命者(パラダイムシフター)
であった様に思います。時代を作るのは狂だと言った松陰先生も含め、
成功体験からの脱却は今の日本に求められている姿なのかもしれません。
温故知新とパラダイムシフトは今後の面白いテーマかもしれませんね。

今週一週間有難う御座いました、明日からはお待ちかね三浦先生です。