東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「カラダの本来の動きについて」

人間のカラダには私達がまだ知らないとてつもない動きの可能性がある。

それは橋本先生が示された3法則1相関性(重心移動の法則、重心安定の法則、連動の法則、そして呼吸との相関性)が基礎となり、それが現在では8法則8相関性にまで至っている。
この操体が説く進化の過程、そしてこれからの道筋には一体何があるのだろうか?

私は三浦先生が説かれている8法則8相関性を意識し学んでいく中で、従来のカラダの動きとは明らかに違う点があることを感じた。それはカラダの動きには外の器の動きと中の器の動きがあることであった。

よくインナーマッスルを鍛えるというコトバを耳にするが、私が言う外の器の動きとは皮膚を介した筋・骨格だけの動きであり、中の器の動きとは外の動きでは稼働しない細かな神経繊維の動きを含めた目には見えない動きをいう。
橋本先生が現役の頃に行っていた楽か辛いかの分析法(第一分析)では私がここで言っている中の器は作動しきれていないように思える。この中の器をフルに稼働させるには気持ちのよさへの問いかけの中で三浦先生が加えた5法則7相関性が必要になってくるのである。この問いかけを行うことで感覚の聞き分けも普段の生活では聞き分けることが出来なかった感覚も聞き分けることが可能となった。私が思うにこの「中の器」の作動こそがカラダ本来の動きであるように感じる。

それらが可能になった要因として、カラダの動きをコントロールしている脳への問いかけと普段カラダが使いきれていないパーツを意識的に使うことが要因として挙げられる。

それをこれから説明していこうと思うのだが、その前に人間の動きの可能性を考えて頂きたい。そもそも人間は本来備わっている数%の身体能力しか発揮せずに一生涯を終えるといわれている。それは脳が制御しているからであり、アスリートでは無い限り日常生活の中で必要以上にカラダの動き、運動パフォーマンスを挙げる必要はない。
よく格闘漫画等で脳が覚醒し、無意識の中で自分の技量を超えた能力を発揮することが描かれているが、これは自分の意思ではコントロール出来ないカラダの動きを自我を無くすことで、本来のポテンシャルを発揮することが可能であることを伝えたいのだと思う。
これを踏まえると人間のカラダにおける本来の動きの可能性は思考を出来るだけOFFにし、ほんの少しでも無意識に近い状態に持っていくことにある。そしてその状態にする最良の手段は肩甲骨の開放と目の使い方にある。私が強く感じるのは人間の動きは目線の使い方によって無限に広がっていくように思う。そしてその目線とはカラダにとっての意識であり、カラダの全てをコントロールする司令塔のような役割を担っているのである。

私達は格闘家でもなければ、アスリートでもないのでこういった能力を追求する必要がないのかもしれないが、ただ普段の生活でカラダを使わせて頂いていることを踏まえると本来カラダが持ち合わせる動かし方、その可能性を知る義務があるのではなかろうか。