東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

憶の快ってなんだろう⑤

調和的な勘、それは何かと共に生きていることを直感的
に感じることなのかもしれません。

共生といえば、僕たちの消化管のなかにはマイクロバイ
オータ(腸内に生息する微生物群)が存在し、消化活動
や免疫系だけではなく、「微生物語(びせいぶつご)」
を介して脳と連絡をとり、情動のコントロールにも関与
しているようです。

 

腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか
 

この共生関係の起源を辿っていくと、5億年前にまで遡
ることができます。当時の海洋生物とその消化管内に生
息していた微生物との共生関係。そこで行われていた遺
伝情報のやり取り、それによって発達してきた腸管神経
系、そして共生システムそのもの。

現在僕たちが感じることができる「はらわた感覚」は、
この時代から受け継がれてきたものであり、それは無数
のいのちによって支えられてきたものでもあります。

そのような共生関係は、細胞のなかのオルガネラの一つ
であるミトコンドリアとも築いてきました。

先日、臨床中に「ひとつひとつの細胞に空気が入ってく
るみたい」とおっしゃった方がいます。この方はすでに
「からだ」がききわけているものをききわけられたよう
です。

「ひとつひとつの細胞に空気が入ってくるみたい」とい
う表現は比喩表現にとどまりません。

事実、ひとつひとつの細胞のなかのミトコンドリアは、
吸気によって取り込んだ酸素によってATPを産生して
います。

「感覚」というとひどくあいまいで、おぼろげで、主観
的で、言葉を持たず、あえて言葉にすると消えてしまい
そうでもありますが、僕らは感じることができるからこ
そ、「からだ」がききわけているものと共有することが
できるのです。