東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

操体を初心者に説明する⑥ 「動診と表現」

 操体では、「からだの感覚をききわける」 ということをすでに述べたが、患者自身が治療者であるなら、その感覚診断も患者自身でしなければならない。 疾患を持ったからだは、横紋筋系に収縮異常があると述べたが、そういったボディの歪みは視診や触診という診断法によって、その 「構造」 において確認できる。 

 

 そして、もう一つの診断法がボディを動かして診るという操体特有の診断法である 「動診」 といわれるものであり、「構造」 と 「動き」 という、この二つを併せて操体では、「構造運動力学」 と称している。 その動診での形態観察は操者の技量であり、この動診の診方、通し方がわかっていれば、患者を快感覚へと誘導できるのである。

 

 操体の動診では、からだの動きを単なる動きとして表現するのではなく、意識で表現させる。 つまり、意識でからだの動きを操る気持ちで表現させることにより、次にからだの中心である腰で表現させて、局所の動きが全身の動きに変化してくるのである。 しかし、その動きよりもさらに感覚を重視することが必要である。

 

 そのからだの動きという表現とともに在るのは 「感覚」 すなわち感じることである。 この感じるというのは、「たった今、この瞬間を感じる」 ことであり、患者はそれだけに専念しなければならない。 そして 「表現」 が肉体の末端に生じるのに対して、「感覚」 はからだの中心に生じ、たえず意識の影響を受けている。 要するに感覚をききわけさせるために 「動き」 という手段を使っているのである。