昨日の続きになりますが、当時、橋本敬三先生の臨床は「辛い方から楽な方」に動かすという分析法(第一分析)で患者を診ていました。
この分析法はからだの構造を左右対称に整えることを目的としています。
歪みを改善し、からだを左右均等にすることで、結果的に症状の改善、そして息・食・動・想の4つの命の営みのバランスが取れてくるという捉え方であったのだと思いますが、橋本敬三先生はこのやり方で患者の健康維持増進に繋がっていく臨床になるとは考えていなかったと思います。
からだの構造を左右均等に整えるだけでは、患者の訴える症状・疾患は改善することは出来てもまた元の状態に戻る可能性は大いにあります。
操体を健康維持増進医学として提唱されている以上、橋本敬三先生も目指していたのは患者が自分の力で健康を勝ち取っていくために必要なものを臨床の中で提供していくことを目指していたのではないでしょうか?
そのひとつが「感覚」であり、橋本敬三先生も晩年「動きよりも感覚を重視しなさい」といます。
そしてもうひとつが「きもちのよさ」であり、これらを「からだに聞き分けて味わう」ことが出来れば、先ほど挙げた問題もクリアになってきます。
それはからだが要求しているものであり、その要求を無視することの出来ない自分を形成していくことが操体、もしくは操体法にはあるのです。