東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

「がんばるな」という魔法の言葉6

時代の流れと共に人の想念の在り方も大きく変化していますが、ここ百年の間で現在が一番「頑張れない」時代になってきているように感じます。

 

そう感じる理由はここ20年の間に携帯電話、パソコンを持つことが当たり前になったことで人と人との心の繋がりが薄れてきたことです。

 

例えば大切に思っている人から会って「頑張れ!」と言われるのと、電話で言われるのと、メールで言われるのでは受け取り方が違いますし、言葉の重みも変わってくると思います。

 

一昔前の時代では会って言葉を伝えること、それが出来なければ電話で伝えることが当たり前の時代でしたが、現在は人と顏を合わせなくても繋がっていられる時代になりました。

 

それは生活が便利で豊かになった反面、顔を合わせて対話することで産まれる言葉の持つ力がなくなっている時代でもあり、同時に1人1人のメンタルコントロールが複雑になってきている時代とも言えるのではないでしょうか?

 

また、情報が溢れかえっていることで、逆に自身の選択も難しくなっていることも「頑張れない」時代の1つの要因のように思っています。

 

選択肢が増えたことで社会全体からみれば自由になったのかもしれませんが、1個人でみるとまた何をすれば良いのかが分からなくなっている不自由な時代のようにも見えます。

 

その迷いや相談できないことが心の病に繋がり、自身の人生、または生活を頑張れなくなってしまう人が多くなっています。

 

橋本敬三先生の「がんばるな」という言葉を言い放ったのもこういった時代になることを見据えてのことなのかもしれません。

 

1つ確かなことは今の時代この言葉を必要としている人達が多いということです。

 

頑張れない時代に「がんばる」ために必要な言葉が「がんばるな」という気がします。