東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

心身一体論➀

 昨日まで、ととのう(調う)ということを心とからだの調和という内容で話を進めてきたが、本当のことを言うと、心とからだという二つのものに分けることがそもそも間違いなのである。 心とからだは元来一体であって、これを二つに分けるのは、我々がものごとを考える仕方を便宜的に行なっていたからにすぎない。

 

 我々の思考は、もともと一つであるものを二つに分けることによって、はじめてそのものごとを進めてゆくことができるものだ。 このように相対的な見方や分析的な方法が我々の思考の手段なのである。 一つのものを一つのあるがままに把握するという方法は通例の我々の思考には備わっていない。 

 

 故に、心身は元来一つのものであり、一体的なものとしてしか現実に生きてゆくことはできないものであろう。 だが、そういうことを仮に真理として認めたとしても、それだけでは我々は身心一体という理法を思考の上で理解したことにはならないのである。

 

 しかし、今日の科学的知識の段階で、心身一体や心身双関という常識的な真理を、どのように理解することができるのであろうか? 最近目覚ましく発達した深層心理学や精神身体医学のおかげで、この心身双関の内容をかなり知ることができるようになってきたことは、心身を理解する上で非常に役立っている。