野口三千三先生は、橋本先生と交流があった方です。その著書『原初生命体としての人間』 の中の一節で、
『すべてのものやことに向かい合ったとき、その対象を突き放して冷静に、いわゆる客観的にみることが一般に主張されることが多い。私は、どんなに物理的に遠くにあるものに対してでも、自分が拡散してそこまで行き、その中に滲み込み、溶け合って一体になり、それを自分の主観として感ずる、という在り方がほんとうなのではないかと考える。』(170p)
と、述べられています。
さすがは、
『主観・特殊・個別以外には具体的に存在するものはない。存在するもののすべては主観であり、特殊であり個別である。特殊な個の内側にもぐりこみ、それに徹したときだけ、いわゆる普遍というもの、客観とよぶものをとらえることができるのだ。』(235p)
と、言い切られた人です。
主観的なものであっても、個人我のものではなく、一切に通じる普遍性があれば、それは真理でありうる。
かつて、釈迦、イエス、孔子などの偉大な聖賢やその弟子達が、それを実践し伝道しました。人々を共鳴共感させるものがあったから、タイム・テイストに耐えて、進化しながら今日まで残っています。