東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

演技=行動するからだ

野口先生と親交のあった竹内敏晴先生は、著書『ことばが劈(ひら)かれるとき』の中で、

 『食べたいものを見た瞬間に、「思わず、知らず」手が出ている、つまりからだの内に動くものを感じる(意識する)より前に行動が始まっているわけだ。言いかえれば「もの」に手が吸いつけられてゆくのであって、からだの内から動き出したものが伸びてゆくのではないのではないか。対象に引っ張られるので、対象に向かって出てゆくのではない。』(120p)

 『意識の対象は「飛ぶ」のである。一方(※野口体操)が無意識下においてさえ起こるからだの動きを意識化しようと試みるに対し、他方(※竹内メソッド)はそのからだの動きを、本来の無意識の領域にもどすのだ。体操と演技の間には、鋭い一線が引かれている。行動(演技)するとき体操の次元の行動を持ち込めば、行動は死ぬのだ。』(121p)

 と野口体操との違いを述べられています。

 

そして、「自分がほんとうに自分であるとき、もはや自分は自分ではない(自分を意識しない)」、と繰り返し、言葉を変え、表現を代えて、随所に書かれています。

 

☆文中の下線と(※)は、理解を助けるために、私が付したものです。