東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ⑥

 6日目は 「想」、精神活動について述べてみる。

 

 精神とは 「心構え」 のことであると先に述べた。 その心の乱れが肉体に影響を及ぼし、病気を呼ぶことになる。 自分勝手に、自分本位にものごとを考えていると、「我執」 が強く、いつもイライラ、クヨクヨ、ハラハラするということになって、感情が波立てば当然頭に血が昇っていく。 するとその反動で足もとが冷えて血管が縮んでしまい、血循不全になってくる。 つまり、「頭熱足寒」 に陥る。 

 

 また心が歪んでくると、足もとを冷やしたくなってくるので、「頭熱足寒」 が必然的に発生し、自然治癒力が損なわれ、感覚も狂ったうえに健康のために良くないことが好きになってくる。 その心の乱れ方によって、どの内臓が主に病むのかといったことも違ってくる。 我執は大きく分けて 「傲慢」「冷酷」「利己」「強欲」 の四つの分類があり、それぞれに対応する内臓が決まっている。

 

 まず 「傲慢」 とは、いばり返っているということで、「人を見下したり」、「見栄を張ったり」、また 「恥ずかしい」 と言ったりすることも含まれる。 卑屈というのも傲慢の裏返しであり、表裏一体の関係にある。 傲慢な心構えだと、肝臓、胆のう系統の血管がよく縮んで、その部分の病気になりやすい。

 

 次に 「冷酷」 は、冷たい性格で、自分の都合しか考えなくて、他人に対する思いやりがない、そのような心構えをもっていると、心臓、血管系統が悪くなりやすい。 たとえば心臓の病気の中で、心筋に異常がある場合、よほど重症にならないと心電図などには出てこない。 しかし、心筋異常では、まず結石になって出てくるということを理解しなければならない。 分子生化学の研究において言われていることは、筋肉に異常があるのは、カルシウムイオンの代謝異常が原因で、心筋内でうまくカルシウムイオンが働かないことで、腎臓や尿管や唾液腺に結石ができてしまうそうである。 だから結石をとってもまた出てくるということになる。 根本的に心臓が悪いのだということの理解と、他人に対して冷酷になっていないか、自分自身を良く反省する必要がある。

 

 その次の 「利己」 というのは、わが身の安心、安全、安楽だけを求めることである。 これは、安楽でいたい、働きたくない、という、つまり、怠け者になることだ。 この場合、少しでも空腹になると、すぐ 「ひもじい」 と感じてしまい、すぐ食べることになる。 だから利己の心構えを持つと、食べ過ぎになりやすく、そのために消化器を悪くしやすいのである。 もちろん、食べ過ぎで肥満にもなり、それを解消するためにフィットネスに励むことになるが、結局これも利己的に、自分のためにやるので、その効果はあまり期待できないことが多い。 これも利己主義になっていないか、よく反省する必要がある。

 

 そして、最後の 「強欲」 は、欲が深いこと。 金品を貯めたがるだけでなく、自分の努力や能力以上のものを欲しがることも強欲になる。 この場合、肺と大腸が悪くなりやすいが、粘膜や皮膚も肺のうちに含まれるので、皮膚病や潰瘍性の病気も肺の病気に入る。 強欲だと、大腸が大便までも出すのを嫌がって便秘になりやすいだけでなく、肺が病毒を出したがらないので、喘息にもなってしまう。 欲深くなっていないか自身でよく検証する必要がある。

 

 上記四つの我執のどれかが、ある水準以上にひどくなると、腎臓や膀胱が病んでくる。 さらにひどくなると、からだのどこかに腫瘍が発生することになる。