東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

あなたに操体・操体法をお薦めする理由⑤

 5日目は 「動」、身体運動について述べる。

 

 身体運動というのは、安定した姿勢で立ったり、坐ったり、歩いたりすることであり、この運動することについての操体的理解を深めていきたい。 

 

 身体の運動は筋肉の伸縮によって行われるものではあるが、その動きが安定性を欠くと、「筋力に頼りすぎて滑らかに動けないのか」、それとも 「ただ単に筋力が弱ったから滑らかに動けないのか」、そういった筋肉と動作の関係について根本的に考察する必要がある。

 

 自然な身体運動は、重心移動を滑らかにすることで安定した動きになる。 ではその重心移動を滑らかにするのは、「自然なからだの使い方、動かし方」 が重要なキーポイントであり、骨格を支えている筋肉が関節を動かし、姿勢を変化させて重心の位置をうまく移動させているのである。 そしてこの重心位置の移動が滑らかになったことで、快適な運動・動作が起こってくる。

 

 快適で自然な身体運動において、筋肉の働きはほんの僅かで足りるということを特筆しておきたい。 何十キロの体重を移動させるパワーは必要としないのである。 ところが筋肉だけに頼った動きだと、重心移動を始めるのに大きな筋力が必要とされる。 そして大きな筋力を出すための犠牲が骨格を歪めてしまうことになって、肩凝りや腰痛、膝痛などの症状まで作りだすことになる。

 

 初日に述べた通り、ボディの歪みは健康に大きな影響を及ぼすことになる。 骨格が歪めば、姿勢が崩れてくるので、筋肉を固めることによって姿勢の崩れを防ごうとする。 しかし、加齢とともに筋力が衰えてくるのは必至で、ついに姿勢は崩れてしまうことになる。 が、それだけでは済まされない。 その崩れた姿勢を維持するのに、またしても筋肉を固めることになり、最終的には背骨から出入りしている自律神経を圧迫して、さまざまな症状、疾患に陥ることになる。

 

 操体では身体運動についての法則がある。 それはからだの使い方・動かし方の法則のことである。 まずからだの使い方である重心安定の法則について、立位でいう自然体とは、両足は肩幅にしてつま先と踵は平行、膝の力を緩め、背筋を軽く伸ばし、目は正面に向けることで、重心は足の拇趾のつけ根にくる。 次にからだの動かし方である重心移動の法則では、手は小指、足は拇趾において運動力点、運動作用点とする。 これらの条件が揃えば、からだの末端から動きを起こすことで、全身が連動して動いてくることになり、これを連動の法則という。 そして連動してくる一番大きな動きに目線をつけることにより意識をより意識づけることが目線の相関性である。

 

 操体でいう身体運動というのは、行住坐臥、つまり日常生活の中での振る舞いのことであり、からだをこまめに使って、家の中を拭いたり、掃いたりして自らからだを動かすというような意味である。 同じようにからだを動かしても、号令をかけられてやるようなエアロビクスなどは、動かされているのであって、自ら動いているのではない。

 

 このような身体運動において、「関節筋肉」 という部位は、動かすことで体毒がよく出る。 最もよく毒の出る関節は、足首の関節であり、その次によく毒が出るのは、の関節になる。 顎関節をよく使うというのは、食べ物をよく噛むことで、消化によく、食中毒にならないと言うだけでなく、食べる量も少なくてすむので、食べ過ぎを防ぐことができる。 つまり、ダイエットだけにとどまらず、からだに溜まった毒もよく出るということだ。

 

www.tokyo-sotai.com 2021年春季東京操体フォーラム開催

2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」