東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

あなたに操体・操体法をお薦めする理由 ④

 4日目は 「食」、飲食について述べる。

 

 飲食の目的は二つある。 肉体の組織をつくることと、活動エネルギーをつくることにある。 蛋白質と脂質は肉体組織をつくり、糖質と脂質は活動するための熱量をつくってくれる。 それからビタミン、ミネラル、酵素などは、蛋白資、脂質、糖質等の食物を肉体組織に変える媒体の役目をしている。

 

 卵白の脂肪のようなものは例外として、本来、食物はすべてこれらの三大栄養素(蛋白質・脂質・糖質)をたずさえている。 ということは普通の飲食で三大栄養素は補給されることになる。 しかし、人間は食物を加熱調理して火食することになるから、ビタミン、ミネラル、酵素を壊してしまうことになり、食物をうまく肉体組織化できないので病気になりやすい。 ところがどうだろう、野生動物たちには医学知識も栄養学もないのに、病気にもならず天寿を全うしている。

 

 栄養というのは、摂ればいいというものではない。 食べないで栄養失調になる人よりも、さほど食欲がないのに食べ過ぎて病気になる人の方がはるかに多い。 食欲がないというのは、生理機能が 「食べるな!」 と言っている。 そのからだの声にしたがって食べないでいれば、血液が早く清まって、内部疾患、外部疾患に拘わらず病患部がきれいに洗い流されていく。

 

 我々はみなからだの状態が違っている。 野菜だけで健康を維持できる人もあれば、蛋白質類を摂らないと活力がなくなる人もいる。 また昨日と今日の体調も違っており、そのような変化に適応した栄養を摂らなければならない。 栄養には、個人差とともに時間差があることを理解していないと、栄養学の知識を豊富に持っていても、栄養失調になりかねない。

 

 その個人差、時間差を的確に知るには、尋常の栄養学ではとても間に合わない。 笑いこけた後には肉を摂る、読書した後はもっと肉を摂る、泣いた後には野菜を摂る、スポーツした後はもっと野菜を摂取しなければならない。 またハトムギをたくさん食べていると、皮膚病にならないことや、ネバネバしたものを多く摂っていると伝染病に罹らないといったような、人類何千年の尊い体験を積み重ねてきた 「体験に基づいた栄養学」 を学ぶ必要がある。

 

 もう一つ学ばなければならない栄養学がある。 それは 「本能に基づいた栄養学」 である。 野生動物たちは科学もカロリー栄養学も何も持っていない、しかし栄養状態はすこぶる良好である。 野生動物たちは何を食べてはならないのか、何を食べたら良いのかが身についているのだ。 食欲のまま、自然のまま、本能のままに食していればこその恩恵であろうと思う。 我々人間も野生動物たちと同じように、いのちある動植物を食している。 我々の命をつないでくれるために、食卓までやって来てくれたことに感謝しながら、「いただきます」 と手を合わせて食したいものだ。

 

 「腹八分目、医者いらず」 という格言をよく聞くが、これは食べ過ぎに対する戒めである。 食べ過ぎかどうかを調べる一つの方法は、朝目覚めた時に手を握ってみることだ。 もし脹れぼったく感じたら食べ過ぎていると思って間違いない。 食べ過ぎると、腸からくる自家中毒を起こすことになるが、今や医薬もその一つに加わってきた。 そればかりではない、スーパーなどで購入した、我々が口にする日常的な食べ物には、農業毒、工業毒、商業毒などの毒薬が盛られているので、十分警戒しなければならない。

 

 また排便についても、良い便は臭くないが、食べ過ぎると、便が臭くなるのは、腸内に悪玉菌が増えて、毒を製造しているからだ。 腸の調子は、排便の調子でも知ることができる。 排便時にトイレットペーパーを使わなければならないようでは健康な便とは言えない。 身近にいる犬や猫が排便時にお尻を紙で拭いているのを見たことはないはずだ。 それでもきれいにお尻は光っている。 健康な腸であれば、整腸作用が働いて、便が適度に固まり、よい具合に滑油が表面について、排便痕跡も残さず出ていくものである。 食をいただく時には 「いただきます!」 と言って手を合わすが、排便時においても大便に向かって手を合わせ、「出てくれてありがとう!」 と感謝の気持ちが欲しいものである。

 

www.tokyo-sotai.com 2021年春季東京操体フォーラム開催

2021年4月29日(木)昭和の日にオンライン・会場で開催致します。
テーマ「操体法クロニクルズ2~呼吸とセルフケア特選~(仮)」