東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

共に進化している生物⑤

昔から、お祭りや神社での金魚掬いが大好きでした。

金魚をとってくると、簡単なツボのようなものに入れ、餌をあげるの

ですが、何故かそのうち「植物」を一緒に入れてあげたくなります。

 

そこで、よく買っていたのが布袋葵(ホテイアオイ)です。

この花は、たった1日しか咲かず24時間以内にしおれてしまうのです。

ほぼ、八月から九月ごろまで花を咲かせていても見逃してしまいます。

 

面白いことに、基本的にこのホテイアオイは、小さな金魚鉢と一緒に

浮かべられていると、それほど大きくならないけれど、いったん川や

池に浮かべ育って野生化すると、とてつもない繁殖力を発揮します。

 

まぁ驚くことに2メートル以上の背丈に成長し、どんどん増えていき

しまいには根や葉で隅々まで塞いでしまい、取り除くのが厄介になる

人間にとっては、困った植物になるそうです。


では、なぜ金魚と一緒に入れてある水槽の中で栽培されているときは、

それほど大きくならないのでしょうか。

 

それは「環境」です。

 

金魚鉢では、ごくわずかの金魚の餌の残り、金魚の排泄物ぐらいしか

養分が含まれのないためであり、それに対して、大きな川や池や湖は

一般家庭が出していた生活排水が大量に流れ込み、窒素や隣など大量

に流れ込んでいるため、多くの養分を取り込むことができるのです。

 

私たちは幼少期より努力をすること自体、とても大切と教えられます。

より自分の能力を大きく強く、広く発揮したいと思うようになります。

このことは、当然のように感じられているかもしれません。

 

しかし、能力が十分に発揮できないような「環境」であったとしても

そこでめげることなく、精一杯生き抜くこと。

 

布袋葵は「置かれた場所で咲きなさい」という努力をするだけでいい。

しかし、いつの日か、自分の能力が発揮できる環境に変わった日には、

その能力を爆発させるための努力を忘れてはいない。

 

その為に与えられた「環境」で生き、日々努力を惜しまず愉しむこと。

世の中で威張らなくても繁茂するコツ、そんな植物を想うのです。