「寿命」ということばを辞書で引くと、
(1)命のある間の長さ。命数。齢。生命。
(2)転じて、物が使用され得る期間。
(3)[理]素粒子・放射性元素・分子などが、ある特定の状態に存在する時間。
(広辞苑)
(1)生物のいのち。生命の長さ。命数。
(2)物が使用にたえる期間。
(3)素粒子や原子核、分子やイオン・遊離基などが、ある特定の状態にとどまっている時間。一般には平均寿命をさす。
(大辞林)
とある。
寿命という概念は、(3)のように素粒子の領域にも及んでいて、最新の物理学ではいのちのことをどのように捉えているのか気になるところである。
ところで、モノの寿命については昔から気になっていることがたくさんある。
小さい頃から古書が好きだった私は、町の古本屋に足しげく通っていた(いまではこのような小さな古本屋は残念ながら消え去ってしまった)。
ある日、店主に向けて以前から気になっていた素朴な疑問を聞いてみたことがある。
「古本なのに、値段が全然下がらない本があるのはなんでですか?」
「そうだね、そういった本は命(いのち)がながい本だね」
この店主からの返答に、こども心に妙に納得してしまったことを憶えている。
「本にもいのちがあるのか」と、意識し始めた記憶がしっかりとある。
人が創り出したモノにもいのちが宿る。
そのいのちの長さを決めているものは、いったいなんであろうと、今でも不思議に思っている。