東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

はじめての操体法(2)

しばらく操体をスルーというか、すっかり忘れていた私ですが、「操体」に再会したのは、手技療法を学ぶために、整体の専門学校(多分整体の学校のハシリです)に通い始めた時でした。
 
学校は秋葉原にあったのですが、学校に行く途中に「操体法」という黄色い巨大な看板を掲げた治療院があったのです。
 
のちにここは、三浦先生の講習(初期)を受けた方が現在いらっしゃるということが判明。
 
 
前を通るのですから、イヤでも目に入ってきます。
「あ、そういえば操体法って昔別冊宝島でみたっけ」
「で、あれってヨガとか真向法みたいなセルフケアじゃなかったっけ?」
「治療法??」
のような疑問が湧いてきました。
 
当時私は整体や治療系、オステオパシーなどの本を読み漁っており、確か八重洲ブックセンターか丸善か、三省堂か、とにかく大きな書店で見つけたのが
「操体法治療室」です。
 

 

 

「操体法治療室」の第二章(三浦寛先生担当)の英訳版です。

 

 
私はこの本の第二章、つまり三浦寛先生の担当箇所を読んで、今まで自分が「操体法」に抱いていたイメージが一転しました。
 
地味~な健康体操ではなく、人間の感覚に関与する奥深いものなのであると。
 
一章の今先生のパートも独特の文体で面白いのですが、私は「この、三浦寛先生という人に操体を習いたい」と思ったのです。
 
何か熱量というか、根本的に共感できるものがあったのかもしれません。
 
しかしながら、当時学校に行っており、そちら結構一杯だったので、まずは操体に関する書籍を全部読みました。
 
多くの人がそうですが、まずは写真とか具体的なやり方が載っている本に興味を持つものです。
 
例えばよく聞くのが「写真が載っているから『操体法の実際』を買ったけど、さっぱりわからない」という話です。
 
これは、スポーツプログラマーの更新研修で「操体法」を扱ったことがあるのですが、その先生は、故根本良一先生に習ったと言っていました。後に根本先生に聞いてみたら、「ちょっと講習に来た」とのことですが、ちょっと講習に参加したヒトが、スポプロの資格更新研修で操体の講義をやってしまうのだから(以下自粛)。
 
そして、その研修終了後、ロッカールームで聞こえてきたのは
「『操体法の実際』って、写真が載ってるから買ったんだけど、具体的なやり方とかよくわからないよね」
「あ~、私も買った。わからなかった」
という話でした。
ちなみに私自身は、本で操体を学んだのではなく、実際にからだを動かし、触れるという所から入ったので、参考にはしていません。
なお、カメラアングルの関係で、操者のポジションが怪しかったりしています。
また、巻末に「操体法実施施設」と書いてありますが、実際には書いてありません。
聞いたところ「操体法実施施設」を紹介掲載したところ、「実際にはやっていない」「操体をやってもらえなかった」というクレームがあったので、掲載はやめたのだそうです。
 
今はネットがあるので、操体をやっていないのにやっている、とか書かないと思いますが(あるかも)、本で情報を得ていた時代は、こういうことがありました。
 
私自身も、根本先生の本に「操体実施施設」として掲載したところ「他のところでは操体をやってくれなかった」と、怒って電話をかけてきた人もいました。私が怒られる筋合いはないんですが、昔は「操体をやっている」と言っても、やっていないところがあったのです。
 
 
 
私がちょっと違っていたのは12歳の頃から、内藤景代先生※のヨガ本を読みながら色々試していたので「写真を見ながらやる」ということが非常に難しいことが分かっていました。
※日本の女性ヨガ指導者の草分け。今では信じられないと思いますが、30年位前、ヨガというのは男がやるものでした。指導者も男性ばかり。内藤先生は、男性向けのヨガをやったらどうなるか、とかご自身の身体で試したりという先駆的な方です)
 
ヨガの独習が難しいのは(今みたいに動画とかありませんでしたから、本で見るしかなかった)動きながら呼吸が入るからです。
 
指導者がいれば「動きながら息を吐いて、止めて」と、言って貰えますが、一人でやる場合は、動きを試して確認、その次に呼吸で確認してから、動きと呼吸とポーズ(静止)をやってみて繰り返して「多分これだな」的に進めて行くので、非常に時間がかかるのです。
 
つまり、本をみながらやる、というのは、なかなか根性がいるということなのです。
 
というわけで、私は「操体とは何ぞや」ということを読み解こうと思いました。
 
実技の前に座学、というのは学びの順番としては当たり前のことなのですが、普通は「お話はどうでもいいから早くやり方を覚えたい」となると思います。
 
私の場合、ヨガの独習でわかっていたので、最初に座学をしっかりやろうと思っていました。
 
また、いつか三浦先生に習いにいこうと思っていたので、実技については余り急ぎませんでした。
 
この辺りですが、学校では他の人はわりと早く接骨院(下町が多かった)などに「研修」と称して安い賃金でのバイトに回されていましたが、私はバイトには行かずに、学校で知識の吸収と、触診ばかりやっていました。
 
というのは、バイトで接骨院研修に回されてしまうと、患者さんを回すことに目が向いてしまい、研修としての自分の勉強にはならないというのと、同期の人達が接骨院で朝から並んでいるおじいちゃんおばあちゃんのケアをしており、患者さんはほぼ高齢者であり、手技を行うとうよりも、電気をかけて多少揉む的なことが殆ど、ということを聞いていたからです。なので、なんやかんやと理由をつけて、研修には行かなかったのです。
 
そして丁度学校で操体の特別講義があったのですが、その先生が「生体の歪みを正す」を紹介してくれました。
付箋だらけですごい書き込みがされている本でした。
 
かなり読み込んでいるな、と思いましたし、この先生は勉強してるな、と思いました。
 
 
ちなみに、三浦先生の「生体の歪みを正す」も、付箋だらけで書き込みだらけです(数冊持っていらっしゃいます)目を凝らすと、橋本敬三先生のメッセージも書かれていたりして。
私のもかなり付箋と書き込みがあるかな。。。
 
その先生からは、いわゆる「第一分析」、つまり「対なる2つの動きを比較対照し、楽な方に動かして、瞬間急速脱力するというものでした。
 
また「応用」として習ったのは、今で言えば、故根本良一氏(三浦先生より年長ですが、三浦先生の受講生)の「連動操体」と、同系列の先生のものでした。
 
これは「快」というよりも、ピンポイントで痛みを取る的なものですが、かなり役に立っていますし、今では「快」に導けるようにD1'(ディーワンダッシュ。畠山が考案した、限りなく第二分析に近い第一分析)に構築しています。
 
まとめ:
最初からいきなり実技ではなく、基礎知識として手に入る操体の書籍を全て読んだ。
「操体法治療室」と「生体の歪みを正す」「からだの設計にミスはない」「誰にもわかる操体法の医学」
操体とは何ぞや、というのが何となくからだと頭に満ちてきてから、本を見てではなく(間違えているとイヤだなと思った)操体法の実技の実際を学んだ
 
ということが、よかったのではと思っています。
 
操体をはじめてやるのであれば、
まずは本で勉強できるところは勉強(橋本敬三先生の、専門書を読むべし)し、実技については、本などを参考にせずに、
プロに受けにいくか、習うかということをお勧めします。
 
また「快」という分野に踏み込みたいのであれば「操体法治療室」「快からのメッセージ」「操体臨床の道しるべ」「皮膚からのメッセージ」をどうぞ。
 
ちなみにこれらも、最新の操体理論の中(現在私達が操体法東京研究会で学んでいるもの)では、過去のものとなっていますが、現在を学ぶには過去の歴史を知ることも必要です。
読むとしたら「これが最新」なのでははく、これらは操体臨床の歴史の一端であると思って読んでいただけるといいでしょう。
 
橋本敬三先生の本は「操体の哲学を知るための古典」として読む(動診操法は、どんどん進化しているので、参考にするのはお勧めしません)。
三浦先生の本は、操体の新しい歴史、第二分析以降の「快」「皮膚」「息診・息法」というものを俯瞰するのに良いでしょう。