東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

マイペースにマイスペース7

先日、「うんこと死体の復権」という映画と出会い、東中野のポレポレという映画館の回数券を衝動買いしたのち、先の関野吉晴氏の活動を追った作品を観たり、いくつか上映作品を観てきました。

 

映画を観るということ自体久しぶりだったのですが、どの作品も今の私の見聞きしたいことばがそこに映る人の姿を通して、響いてくるようでした。

ポレポレで上映していたなかで、そのなかでも、民族文化映像研究所の作品「越後奥三面 山に生かされた日々」という記録映画をみていて、なんとも言えない気持ちになったのでした。

 

新潟県と山形県の県境に聳える朝日連峰の山峡の集落「三面(みおもて)」の暮らしぶりを記録した映像です。

minneiken.wixsite.com

 

山(ヤマ)での生活。

山猟、採取

自然のなかで、自然のリズムや流れのなかで生活する人間の姿。

山(ヤマ)に息づく神(カミ)を感じ、祈りを捧げながらおくる日々。

 

人間の生活リズムよりも、自然の生み出すながれがまずあって、営みのリズムが自ずと決まっているような生活。

ことばにすると昔の生活ってそうだよねというくらいのものに感じてしまいそうですが、映像をとおしてみているとその事実が、静かに強烈に感じられてきます。

 

私は観ていて、こういった自然と見事にかみあった生活が実現するまでにいったいどれだけの年月、観察、経験、工夫、失敗と成功などが世代をまたいで積み重なってきたのだろうとその営みの奥行の深さにただただ射抜かれていたのでした。

 

三面集落の村民のからだの延長上に、三面の自然環境「山(ヤマ)」という存在が有り、きっと自分と自然との地続きな関係性を感じながらああいう生活を送っていたのではないかと想像します。その姿が、なんとも言えず響いてくるのです。

 

この記録作品には続きがあり、第二部では三面集落がダム建設で沈んだ後の、別の集落へ移住した村民の生活を記録した映像もあるそうです。私がみた作品は水の底に沈む前の貴重な村民の生活の姿でした。

 

昨日、自分のペースだと感じているものは、実は自分の周囲を取り巻いている環境の影響を受けて創られているのではないかとブログに記録しました。自分という捉え方から離れたもっと大きな流れによって生み出されるペースとスペース。そのなかで連綿と培かわれてきたマイペースとマイスペース。

 

この三面集落に当時生活していた村民にとって、山(ヤマ)から離れて生活をするというのは、一体どんなものだったのだろうかと。

自身のからだの大切な部分を根っこから失うくらいの感覚ではなかったかと感じられるのです。

 

一週間のお付き合いありがとうございました。

明日から友松実行委員の投稿が始まります。

どうぞ、ご期待ください!