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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

進化は深化より。

友松 誠(ともまつ まこと)

おはようございます。

 

なんだか最近、某週刊誌で手術や薬に関する記事を毎週のように取り上げています。その内容を詳しく書くつもりはありませんが、やはり、からだを治すのはからだであり、そのからだの要求に応える事を最優先しなければならない、ということを強く感じた次第であります。

生命の本質に目を向けるという深化の仕方が、これから益々問われ、これからの人間の進化に関わってくると思います。

 

医師であった操体創始者、橋本敬三先生は、昭和58年5月号の仙台市医師会報に載せた記事の中でこんなことを書いています。

【現在一般に知られている以外に医学医療技術は歴史的に世界地域的にもたくさんある。しかし今のような現代医学の黄金時代はかつてなかった。伝染病は現代医学が抑えたが、自らの生活の営みからくる弱体化、疾病化は現代の方がわるい。生きて行くための自らの責任的営み、息、食、動、想の四つには自然の法則があり、自然環境、人為環境と関連し、バランスを崩せば健康は保持も増進もできない。科学的検査がいくら開発され、進歩しても、生命の本質に暗ければ治療の効果を挙げ得ないのが現実だ。生命の現象の展開のバランスのうちに本当の快適感覚をつかまなければ、どうにもならない。知識が進んでもカンが衰退しては生きてゆけない。野生動物には医者はいない。獣医は人に飼われた動物園と家畜のためにある。】

 

昭和58年というと30年以上前となりますが、創始者はもうこれだけの事を書いて先を見越していたんですね。改めて凄いと思います。これも、人間が環境に適応して、より快適により長く生かされて生きるには、という事を常に深化させていたからなのでしょうね。

この中の【自らの生活の営みからくる弱体化、疾病化は現代の方がわるい】という文言。これは30年以上たった現在はもっとわるくなっていると思われます。弱体化とは、単に体力の弱体化と捉えられるきらいがありますが、環境との関わり方も含めたトータルバランスとしての生命力です。これはスポーツ的な、ある一定条件での記録や数値には表せないものです。体力がある、イコール健康ではないことは確かです。

このトータルバランス的な生命力の弱体化で、なにが危惧されるか。ひとつには、はじめに挙げた手術や薬といった現代医学を象徴するものに、からだが対応しきれなくなってきているのではないかという事。これでは医療技術がどんなに進歩しても、暖簾に腕押しだと思われます。

【科学的検査がいくら開発され、進歩しても、生命の本質に暗ければ治療の効果を挙げ得ないのが現実だ】という創始者の文言が浮かんできますが、これからは生命の本質というものに関して深化した研究が求められて然るべきと思います。その深化によっては、現代医学の在り方も変わってくるのかもしれません。

 

操体も変わります。ただの変化ではありません。これからの時代に合った人間と環境との関わりを重視し、深く深化させ、客観的検証を繰り返しての進化です。これは創始者の遺志を継ぎ、生命の本質に対する学問を深化させてきた三浦寛先生だからこそ、成し得た進化なのでしょうね。

2016年9月新規講座開講のご案内のご案内を見てみると、三浦寛先生は、受講ご希望の皆様へのメッセージとして「これからの操体法は、重心の適正化を目的とした医療分野への対応と、健康維持増進医学にお答えいたします」と明言しています。

それだけ、からだにやさしいアプローチとなり、昔カックン療法などと呼ばれ、瞬間脱力がどうのこうの言われていた時代の面影はもうありません。臨床家はもとより、医療分野でもトータルバランス的に弱体化した生命力を、重心の適正化をはかる事で、からだから変えていき、医療を成功に導く手助けもできる、という事なのではと思います。

これをやって上手くいったから大丈夫、ではなく、これにからだがどう応えてくれるかも重要なのです。最終的に治すのはからだであり、善くなっていくのもからだなのですから。からだが善く応えてくれるよう、負担をかけず、よりやさしく、調和に向けた生命エネルギーを呼び覚ましてあげる。そういう分野も現代医学には必要なのではないかと思います。

 

2016年9月新規講座開講のご案内