東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

今週は長野県から

 今日から一週間は佐助の担当となります。今回はブログのテーマとして、「時間」「空間」「時空を超える」という壮大なテーマをいただきましたので、一週間いろいろと考えてみたいと思います。
 最近のブログを振り返ると、僕は初日では、ブログのテーマから連想される長野県を紹介しているので、今回もこりずに長野県紹介から入りたいと思います。
 男性の中で時計が好きだという方が多いような気がしますが、世界の腕時計の98%を占めるクオーツ式。このクオーツ式腕時計の開発に世界で初めて成功したのは、諏訪の商店街で時計屋を経営していた山崎久夫氏だったようです。明治時代に製糸業で栄えた諏訪の地域が、昭和に入り化学繊維の登場で壊滅的な打撃を受けると、町を何とか蘇らせたいと職を失っていた女工を雇い、ゼンマイ腕時計の生産を開始し、女工たちの繊細な指先で組み立てた時計はその正確さで評判となったようです。だがこれも、アメリカで電子時計が発売されると窮地に追い込まれたようです。そこでクオーツ腕時計の開発に奮闘し、戦後の長野県の諏訪湖周辺では、時計をはじめカメラ・オルゴール等の生産地として「東洋のスイス」といわれるまでになったようです。当時、この地域の有力企業は、時計の諏訪精工舎(現、セイコーエプソン)、カメラのヤシカ(現、京セラ)、オリンパスチノン(現、コダック)、さらにオルゴールの三協精機などがありました。現在の諏訪地方は中央自動車道により、関東京浜地区と東海名古屋地区とそれぞれ同距離の200kmの中間位置に存在し、市場への流通が便利ということもあり、電子部品・機械部品の会社や、双眼鏡・望遠鏡・顕微鏡・測量機器などの精密機械の製品を製造する会社が多いようです。もちろん現在も、職人による少量生産による機械式腕時計を手作りする所もあるようです。
 諏訪に精密機械の工場が数多く集まる理由はいくつかあるようですが、第2次大戦中、京浜工業地帯にあった軍需工場が戦火を逃れるため、長野県諏訪地方などに疎開し、戦争が終ると軍需工場の製造ラインを使って工業製品を生産し始めましたようです。また気候にも関係があり、現在のように、クーラーなどの設備がない時代には、岡谷・諏訪地方の空気に汚れがなく、内陸気候特有の雨が少ない乾燥した条件が精密機械に適した環境だったようです。


 地域産業の発展状況をひとつとっても、人々が歩んできた意志が現在もなお残っていて、肉体がなくとも歴史として残り、歴史や残った資料から、先人の意志を感じ取ることができ、時空を超える繋がりを歴史から感じとることができるのではないでしょうか。
 長野県から一週間、情報を発信したいと思います。お付き合いよろしくお願いします。

Sotai Forum in Madridは、9月24日、25日の二日間、マドリードにて開催致します。三浦寛

2011年秋季東京操体フォーラムは11月6日(日)、東京千駄ヶ谷津田ホールにて開催予定です。