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東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

禅師廓庵のアプローチ

日下和夫(くさかかずお)

 二日目からは、東洋の覚者、中国の禅師廓庵のアプローチを題材にした。

 

 禅師、廓庵といえば、「禅の十牛図」 を描いた人物として知られている。 が、禅の十牛図は、元々は十ではなく八つだった。 というのも、十牛図は仏教のものではなく、老荘思想の流れをくむ道教のものだったからだ。 しかし、その起源はまったく失われている。 それがどう始まったのか、誰が最初の図を描いたのか、誰も知らない。 

 

 ところが、十二世紀になって、中国の禅師廓庵が、それを描き直した。 そればかりではない、廓庵はもう二つ図をつけ加えて、「八牛」 が 「十牛」 になった。 道家で描かれた図は第八図で終わっている。 その第八図は 「空」 と 「無」 である。 だが、廓庵はもう二つ新しい図をつけ加えた。 それこそまさに、廓庵の禅への偉大なアプローチだった。

 

 しかし、廓庵は十牛図を描いてみたものの、満足できなかった。 それらの図はとてつもなく美しい図であったが、それでも廓庵は満足しなかった。 真実というのは何をやっても依然として満足できるものではない。 それから、廓庵は詩を書いた。 最初にこれらの十牛図を描き、不満足を感じて、それを補足するために、さらに十の短い詩を書いた。

 

 だがしかし、またしても、廓庵は不満を感じた。 そうして、廓庵は次に散文で十の注釈をつけ加えた。 それでもまだ、廓庵は不満を感じていたのである。 真実は確かに巨大ではあるが表現には常に限りがある。  このように廓庵は持てる限りの力を尽くした。 後にも先にも、誰ひとりとしてそれほどのことをやった人はいない。

 

 はたして、廓庵の描いた十牛図へのアプローチは、我々に一体どんなメッセージを残したのだろうか。

 

明日につづく

 

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